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第2213話
「……何これ? 全部知らない本なんだけど」
バルドルが首をひねりながら、パラパラと絵本をめくる。
「本そのものに、変な魔法はかかっていないか……。内容もこれといっておかしくは……あれ?」
「どうかしました?」
様子を窺ったところ、バルドルは開いた絵本のページを見せてきた。
「ほら、ここのページと次のページ。内容が繋がってなくない? いきなり『めでたし、めでたし』になってて、その次はまた『やがて夜になり~』になってる」
「あ、本当だ……。他の絵本もそうなんでしょうか?」
他三冊の絵本もザッと確認してみたところ、やはり似たような現象が起きていた。ページが繋がっておらず、バラバラな状態で綴じられている。
これでは読みづらいし、そもそも絵本として成り立っていない。
「……これ、ちゃんと直せたら罠が解けたりしませんかね?」
「わからん。でもやってみる価値はあるな。んじゃ、とりあえず絵本を分解してみるか」
「はい」
アクセルは先程手に入れた短剣で絵本のノド(綴じている部分)を切り、全部のページをバラバラにした。
そしてそれぞれのページを読み込み、違和感がないよう順番を並び替えた。「笑える」、「泣ける」、「ムカつく」、「驚き」の四種類があったので、結構な作業になってしまった。
「こ、こんなもんですかね……?」
「うん、多分これで合ってると思う」
バルドルが並び替えた絵本の内容を確認している。
「それじゃ、これ綴じちゃおうね。そこの棚に製本テープ入ってない?」
言われた通り、製本テープとハサミを探し出し、それを駆使してそれぞれの絵本をズレないように綴じ直した。そして本棚に戻した。
するとドアの方からカチッと音がして、鍵が開いた気配がした。
「あ……罠が解除されたみたいですね」
「ああ。だがこの先も油断するなよ? 腹に剣が刺さるくらいならいいが、脳天貫かれたら即死だぜ」
「き、気をつけます……」
アクセルは顔を引き攣らせながら、書庫の扉を開けた。そして階段を上り、次の場所へ向かった。
書庫では修復した絵本が黒い砂となってパラパラと飛び散っていったが、もちろんアクセルは知る由もなかった。
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