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第2216話
「これ、ミーミルの泉を模してるのかなって。この場所自体なんかどこかで見たことあると思ってたんだけど、ミーミルの泉付近の庭園にそっくりだ」
「えっ……? ミーミルの泉って、飲むと願いが叶うっていう、あの……?」
「そうだよ。ちょっとした代償は必要だけどね。さすがに本物を繋げることはできないから、それを模した庭園を作ったのかも」
「はあ……。そんなものを作る意味がわかりませんけど……ロキは一体何を考えているんでしょうか……?」
「ロキの考えは誰にもわからないよ。それより、早くここを抜けてしまおう。いい加減、ホズのことが心配だ」
そうだ、ホズも見つけないといけないんだ。これまで食堂や書庫、廊下の罠をかいくぐってきたけど、彼の気配はどこにもない。
ここまで出てこないと、彼もバルドルのようにどこかに囚われている気がしてならないのだが……だとすると一体どこに……?
「あ……兄上……」
その時、大樹の向こうから誰かが現れた。よろよろと大樹に凭れかかりながらも、どうにかこちらに近づこうとしてくる。
かなりボロボロになっていたが、その容姿には見覚えがあった。自分に少し似ている神様で、バルドルの愛弟ホズだ。
「ホズ……!?」
バルドルが駆け出し、ホズの身体を抱き留めた。
「よ、よかった……。何とか無事だったんだね……」
「あ、ああ……。いろいろと、不覚をとってしまったが……」
「話は後で聞くよ。とにかく今は傷を治そう」
そう言ってバルドルが、早速治癒魔法をかけ始める。
その様子を見守りつつ、アクセルは心底胸を撫で下ろした。
――よかった、ホズ様も一応無事だった……。これで第一目標は達成できたな。
今回の突入はロキをとっちめることが目的だったが、ホズを救出するのも大事な目標だ。
これさえ達成してしまえば、一度撤退して体制を立て直してもいいと思う。ロキを見つけるのは、戦力を整えてからでいい。
外で戦い続けている兄のことも、そろそろ心配になってきたし。
「う……あ……ァ……」
「っ……!?」
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