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第2219話
「……違うよ。最初からなんか違和感があったけど、比べてみてようやくわかった。本物のホズはこっちだ。きみは中身が違う偽物だよ」
「ええっ!?」
愕然として、ホズの姿の誰かに目をやる。
――そんな、嘘だろ……? それじゃあ、あのホズ様はまさか……。
とてつもなく嫌な予感がしたので、念のため距離をとっておく。
ジークも、いざという時に動ける程度の距離を確保して事態を静観した。
「ひ……ひどいよ、兄上……。そんな肉の塊と、俺を間違えるなんて……」
ホズが俯きながら泣き始める。
違うと言われた後だとその泣き方も違和感しかなくて、アクセルはますます確信を強くした。
これは……こいつは、やはり……。
「……あのね、ホズはそんな泣き方しないんだ。彼は意地っ張りで誇り高い子だから、私の前では自分から涙を流さない。仮に弱音を吐いたとしても、そんな風に同情を誘うような言い方はしないんだ。やっぱりきみは、ホズの姿をした偽物だよ」
「……!」
「まあ、この場でホズの偽物になれる人物なんて、一人しか思いつかないけど。……きみ、ロキだろう? 私の弟をこんな姿にしちゃうとか、いい度胸してるね」
バルドルの静かな怒りが見て取れる。
それはそうだろう。大事な弟を醜い肉の塊にされた挙句、当の犯人はその弟に変身して成り替わろうとしていたのだから。バルドルからすれば怒り心頭だろう。
「……ああ、そうかよ。せっかく上手くいきそうだったのに、何でギリギリのところで見破っちゃうかね」
ホズの格好をした人物――ロキが、やれやれと大仰に肩をすくめた。もう取り繕うつもりはないようで、堂々と本性を剥き出しにし始める。
「どうせなら、オレだけもっと後に登場すればよかったか。そうすりゃ比べられることもなかったのにな。お前らが肉の塊を斬り刻むのを見たくて、つい出てきちまったよ」
「……悪趣味だね。というか、バレたならいい加減元の姿に戻ってくれない? ホズの姿でいられるのは不愉快だよ」
「嫌だね。醜い巨人族の姿なんて、誰も見たくないだろ」
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