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第2222話

 ロキが激高してきても、バルドルは口調を変えなかった。  淡々とした声で更に続ける。 「でも、理解しようと努めることはできる。完全に理解することはできないけど、寄り添うことはできる。だからロキも、『わかりっこない』って諦めるんじゃなくて理解されようと努力してみたら? こんな風に最初から敵意剥き出しじゃ、私たちだって抵抗するしかなくなるよ」 「…………」 「というか、いい加減ホズを元に戻してくれないかな。いつまでもこんな肉塊のままじゃ、私も悲しくなっちゃう。思惑がバレた以上、これ以上続ける意味もないでしょう」 「……ハハッ」  ロキが乾いた笑みを漏らした。  不穏な気配を感じて身構えたら、案の定ロキは髪を掻き毟ってこう怒鳴りつけてきた。 「やなこった! お前らが悲しむなら望むところだ!」 「……!」 「何が『寄り添うことはできる』だ! お前なんかに寄り添われてたまるかってんだ! 所詮、お前の理解なんて上から目線の傲慢でしかないんだよ! 偉そうにオレに説教しやがって! 舐めるんじゃねぇ!」 「……ロキ」  バルドルが悲しげにロキを見た。  見た目はボロボロのホズだが、やはり中身は卑屈なロキのまま変わっていない。自ら、「自分は自分以外の何物にもなれない」ことを証明してしまっている。  そこに気付いているのかいないのか、それとも既に開き直っているのか、アクセルにはもうわからなかった。  バルドルは大きく息を吐きながら、言った。 「……この手の魔法は、術者を倒さないと解けない。つまりホズを元に戻すにはきみを死者の国(ヘル)に送らないといけないんだ。そこまでしたくないから、『元に戻して』って頼んでるんだ。……わかってよ」 「お前こそわかってるのか? 死者の国(ヘル)に落とされたらオレはまた永遠の拷問を受けなければならない。かといってここでお前らに見逃されたところで、行くところなんてどこにもない。オレにはもう、お前らに最大限の嫌がらせをしながら死ぬくらいしか道がないんだよ」 「…………」

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