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第2227話

「どうだろうね? まあもし咎められたとしたら、バルドル様にお願いして擁護してもらうよ。ロキを追い出すのに尽力したんだから、それくらいの見返りはいただかないと」 「うん……そうだよな……」  アクセルは泉に浸っているバルドルとホズを見た。  バルドルの傷はだいぶ塞がってきている。あと数分で目を覚ましそうだ。  だがホズは未だに顔色も悪く、呼吸も荒いまま意識が戻らない。多分、肉塊の時に刺されたところが悪かったのだろう。  ――ジークの武器は、対戦士用の大槍だからな……。一突きされただけでも致命傷になっちゃうんだよな……。  これに関しては、運が悪かったとしか言いようがない。  祈るような目でホズの回復を祈っていたら、不意に兄がバルドルの右手を取った。  そしてホズの左手と握らせ、自分も両手で二人の手を握り込んだ。 「兄上……?」 「こうした方が、ホズ様も頑張れるでしょ。例え意識がなくても、好きな人に手を握られている感覚は何となくわかるものだよ」 「……!」 「さあ、お前も二人にエールを送ろう。大丈夫、きっと帰ってきてくれるさ。兄弟の絆は、この程度のことで切れるものじゃないからね」 「ああ、そうだな」  アクセルも兄の手の上から、二人の手を包み込んだ。ありったけの想いを込めて、彼らの回復を願う。  バルドル様、ホズ様、どうか目を開けてください……。 「……!」  このまま数分待っていたら、ようやくバルドルがぼんやりと目を開けた。  まだ焦点が定まっていないようだったが、こちらが呼びかけたら自分の状況を理解してくれた。 「ホズ……!」  握っていたホズの手に縋りながら、様子を窺うバルドル。  ホズの顔色は真っ白なままで、泉の回復もあまり追い付いていないみたいだった。 「二人共、ありがとう。あとは私に任せて」 「何をするんです?」 「私の回復魔法も合わせるよ。それで何とかなるはず」 「は、はあ……。でもバルドル様も病み上がりです。どうか無理はしないで」 「うん……ありがとう」  返事もそこそこに、バルドルが回復魔法をホズにかけ始める。

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