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第2232話

 そうやって久しぶりに兄との食事を楽しんでいたら、バルドルがそっと起きてきた。 「あっ、バルドル様。もうお身体は大丈夫なんですか?」 「うん、大丈夫。ホズも、明日には目覚めるんじゃないかな。……いろいろ世話になっちゃってすまないね」 「いえ、とんでもない。俺はそんなたいしたことしてませんし……それどころか、バルドル様を斬りつけてとんでもない大怪我を……」 「ああ、あれはやむを得ないことだったから謝る必要ないよ。私は気にしていないから、アクセルも気にしないで。結果的にちゃんと回復できたから、もういいんだ」 「それでも……すみませんでした。バルドル様を傷つけてしまったこと、深くお詫びします」  深々と頭を下げたら、バルドルはこちらに近づいて来て、下がった頭を撫でてくれた。  その優しい手つきに、アクセルの気持ちも幾分和らいだ。 「さて、私も少しお腹が空いてきた。何か食べられるものはあるかな」 「あっ、はい。たくさんシチュー作りましたので、バルドル様もどうぞ」  バルドルの分を用意してテーブルに置いたら、彼は喜んで食べ始めた。食欲も戻っているみたいで、だいぶホッとした。 「あの……バルドル様、今後のヴァルハラについてちょっとご相談があるんですけど」 「ヴァルハラについて? 何かあるのかい?」 「実はですね……」  アクセルは食後の紅茶を出しながら、簡単に話して聞かせた。  ヴァルキリーが今までの仕事を全部没収されてしまったので、ヴァルハラの管理者が誰もいなくなるのだ。  そうなるとヴァルハラは今度こそ無法地帯になり、それぞれの戦士がやりたい放題に生活するカオスな場所になってしまう。  さすがにそれはマズいので、管理する人が必要だということ……云々。 「もちろん俺たちが自主的に管理できればいいんですが、戦士の誰か一人に管理権を譲ってしまうと、それはそれで変な争いの火種になりかねないので……。だから、別の神様に見守っていただくのが一番かなと思っているんです」 「なるほど、そういうことか……」

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