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第2235話
翌日の昼頃になり、ようやくホズが目を開けた。
アクセルは溜まっていた家の雑用をこなしていたのだが、バルドルが血相を変えてキッチンに飛び込んできてそれを悟った。
「ホズ様、気付いたんですか?」
「うん、だから水を持って行くんだ」
それならば、とハチミツ入りレモン水の瓶を掴み、一緒にホズの元に持って行く。
ホズはまだぼんやりしているようで、起き上がろうにも身体の力が入らないみたいだった。
それでも一生懸命ベッドの中でもがき、自力で起きようとしている。
「こらこら、無理しないの。今はゆっくりしてて」
バルドルがホズの背中を支え、上半身だけ軽く起こしてやる。そしてグラスに注いだハチミツ入りレモン水を少しずつ飲ませた。
――よかった……ホズ様も目覚めて。
少しずつでも水分を補給できるのなら、もう大丈夫だろう。
アクセルは、バルドルの後ろから穏やかに話しかけた。
「ホズ様、お腹は空いていませんか? 何か軽いものでも作ってきましょうか?」
「あ、あ……」
「ああ、無理に喋らないで。アクセル、悪いんだけど消化にいいもの何か作ってきてくれる? そんなにたくさんじゃなくていいから」
「わかりました、任せといてください」
アクセルは早速、ミルク粥とリンゴの擦りおろしを作ってホズに持って行った。
これは体調を崩した時に、兄がよく作ってくれた優しい食事だ。今ではほとんど食べなくなったものの、風邪をひいて寝込んだ時なんかは、兄に手ずから食べさせてもらったのを思い出す。
「お待たせしました、作ってきましたよ」
だが、寝室に戻った時にはホズはまたベッドで目を閉じていた。水分補給はできたが、その後また力尽きてしまったらしい。
「ごめんね、まだ体力が戻ってないみたいで。起きたら食べさせるから、そこに置いといてくれる?」
「ええ、わかりました。……バルドル様も、無理しないでくださいね」
アクセルが寝室を出たところで、兄が帰って来た。
兄は朝から狩りに出掛けていたはずなのだが、白ベースの衣装がほとんど汚れていなかった。
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