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第2236話

「おかえり、兄上。なんか全然狩り後の雰囲気がないが……どうしたんだ?」 「どうしたもこうしたも、連れてった戦士が全然使い物にならなかったからただのハイキングになっちゃったんだよ」  と、兄が唇を尖らせる。 「市場が再開したとはいえ、まだ戦士全員の食料を賄えるほど潤沢ってわけじゃないからね。手の空いている人は狩りに行ってこいって理屈はわかるんだ。でも……だったらせめて、使える狩り手を用意してくれないかなぁ。時間かけたのに獲物ゼロじゃ、無駄骨だよ」 「そ、そうか……お疲れ様です」  兄は上位ランカーだから、食料難などの緊急時には率先して仕事に駆り出される。  今日も朝早くから緊急招集がかかって、半ば強引に狩りの引率を任されていた。  昨日の今日でまだちゃんと疲れも取れていないだろうに、本当にご苦労様である。  ――俺もついて行きたかったけど、バルドル様とホズ様を置いていくわけにはいかなかったんだよな……。  でも先程ホズも一度目覚めたし、今度は兄と一緒に出掛けられるはず。  アクセルは余っていたミルク粥とリンゴを兄に出しながら、言った。 「じゃあ、次は俺と狩りに行こう。俺ももう自由に動けるようになったからさ」 「えっ? ということはホズ様も目覚めたんだね? よかった」 「ああ。少しずつ日常に戻っていく感じがして、嬉しいよ」  狩りにも同伴できるし、一緒に鍛錬もできる。  あとは肝心の死合いさえ再開してくれれば、言うことナシなのだが……。 「……懐かしい味だなぁ。これ、お前が風邪ひいた時によく作ってあげたやつだ」  兄がミルク粥を食べながら、しみじみと呟く。 「そういえば、ヴァルハラに来てからほとんど体調崩さなくなったよね」 「まあ、身体も丈夫になったしな。風邪ひいている暇もなかったし」 「確かになぁ。死にそうな病気に罹ったとしても、死んで棺に入っちゃえば元通りだもんね」 「……また兄上はそういうことを。軽々しく死ぬなって言ってるだろ」  コツン、と兄の額を小突いたら、兄はくすぐったそうにヘラッと笑った。

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