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第2237話
午後はそのままお互い自由に過ごして、夕食の準備は兄と一緒に行った。
ホズのことも考えて消化のよさそうなうどんにしようと思い、出汁から丁寧にとる。
具のにんじんや大根を切っていると、ようやく寝室からバルドルとホズが出てきた。
「あっ、ホズ様。もう大丈夫なんですか?」
「ああ、まあ……な……」
まだ少し頭がぼんやりしているようだったが、ホズの顔色はよく足取りもしっかりしている。
ただ、残念ながら声は掠れていて聞き取りづらい。頑張って喋ろうとしてくれているが、どうやら声帯にもダメージを負ってしまっているようだ。
ここは下手に話を振らない方がいいだろう。
アクセルは喉にいいショウガのお茶を入れ、ヴァルハラのハチミツを少し混ぜてホズに出してやった。
「先にこちらをどうぞ。もうすぐご飯にしますので」
「ありがとう。食事が終わったら私たちは屋敷に帰るよ」
ホズの代わりにバルドルが答える。
アクセルが目を丸くしていると、バルドルは苦笑しながら続けた。
「きみたちにはずっと世話になりっぱなしだからね。これ以上ベッドを占領し続けるのも悪いし、後は屋敷で療養するさ」
「そうですか? お二人とも病み上がりですけど、大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。近いうちに屋敷の片付け、手伝ってもらうかもしれないけどね」
そんなことを言いつつ、バルドルもハチミツ入りのジンジャーティーを飲んだ。
その後、出汁の効いた鍋焼きうどんをみんなで啜り、和やかな時間が流れた。
***
バルドルとホズが帰った後、アクセルはシャワーを浴びて就寝の準備をした。
寝室に入ったのだが、どちらのベッドもピシッと整えられていて片付けも完璧だった。さすがはバルドルとホズである。
「はあ……ベッドで寝るの、久しぶりな気がするなぁ」
と、兄がベッドの縁に腰掛けて伸びをした。
「一応どこでも寝られるけど、やっぱり自分のベッドに勝るものはないね」
「そうかもな」
アクセルはさっさと自分のベッドに入り、頭を枕に預けて横になった。
そのまま当たり前に目を閉じようとしたのだが、ギシッとベッドが揺れて当たり前のように兄がのしかかってきた。
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