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第2240話*
「平たく言えば媚薬ってこと。いつか一緒に使ってみようと思って買ったのを忘れてたんだ」
「はあぁ!?」
そんなことだろうと思った。
兄がこっそり市場で買ってくる品物など、ロクなものじゃない。以前も怪しい栄養ドリンクを飲まされ、一日だけ若返って大変なことになったし。
「そういう私も、もうビンビンなんだよね。お前をめちゃくちゃにしたくてたまらない」
「ッ……!」
兄の目が完全に雄のそれになっていて、アクセルはぞっと血の気が引いた。犬歯を剥き出しにしている時は絶対にヤバい。
雄のフェロモンを隠そうともせず、こちらににじり寄ってきた。
「あ、いや……っ!」
急に怖くなって、アクセルは兄に背を向けた。
身を捩ってベッドから逃げ出そうとしたのだが、すぐに脚を捕られて引き戻され、上からのしかかられてしまう。
「こら、今更逃げないの。どうせ逃げ場なんてないし、腹を括りなさい」
「ち、ちょっと待っ……!」
「さ、一緒に愉しもうね」
「あっ……!」
とうとう下着も足から抜き取られ、全裸状態でうつ伏せに押さえ込まれてしまう。
兄の下でもがいたが、両腕を背中に回されてフェイスタオルで縛られてしまった。
――ま、またこのパターンかよ……!?
両手が使えなくなるのはいつものことだが、今日は普段より本能的な恐怖が強い。
兄まで媚薬を飲んでいるということは兄自身も際限なく興奮しているということで、本当に文字通りめちゃくちゃにされてしまうのではないか。
失神しても強引に起こされ、一晩中犯される未来が容易に想像できる。
「兄上、ちょっと落ち着いてくれ! 薬飲んでるからって、あまり乱暴しないで!」
せめていつも通りにして欲しくて抗議したのだが、兄は薄く微笑んでくるだけだった。
「乱暴なんてしないよ。いつも通り、気持ちよくしてあげるだけ。手、縛ってるけど痛くないでしょ?」
「それは……」
「それにお前、私に虐められるの嫌いじゃないよね? 縛られるのだって嫌いじゃないし、強引にされるのも大好きだ。何度も交わってるから、それくらい知ってるよ」
「そっ……そんなこと……」
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