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第2252話
それで先日、アクセルと兄・フレインが魔剣士たちを爪痕まで連れて行ったのだが、
「ま、待ってくれ! オレたちは何も知らなかったんだ!」
リーダー格の魔剣士が、今更ながら抗議の声を上げてきた。
中肉中背の、如何にも「凡庸」を絵に描いたような男で、身体を鍛えている雰囲気はない。本当にどこにでもいる村人という感じで、あまり強そうには見えなかった。これじゃ最下位の戦士 にもなれないだろうな、と思った。
ヴァルキリーたちが適当な人間を引っ張って来たことが、よくわかる。
「オレたち、いきなりヴァルキリーに選ばれて魔法の道具与えられて、それでヴァルハラを好きにしていいって言われたんだ。細かい事情なんて何も聞いてなかったんだ。魔法でアンタらをどうこうするつもりなんてなかったんだよ。本当だ、信じてくれ!」
「へえ? なら何故、中堅ランカーの住宅街を吹き飛ばしたの? 死合い中でさえ、相手をほとんど跡形もなく燃やし尽くしたのは何故? そんな無法なことをしてたくせに、今更『どうこうするつもりなんてなかった』とか、通用しないでしょ」
兄が淡々とそれに反論する。
アクセルも同調して頷いた。
「まったくだな。きみ達の襲撃のせいで、復活できずに死んでしまった戦士 もいるんだ。さんざん魔法でイキっていたくせに、今更『何も知らなかった』なんて言い訳が通るわけがない。ちゃんと『透ノ国』で反省してこい」
「だ、だからって、こんな……」
魔剣士たちは、底の見えない大渓谷を見てすくみ上がっていた。足元を震わせ、顔を真っ青にし、今にもチビりそうになっている者もいる。
――まあそうだろうな。俺だって、何回経験しても恐いし。
ましてやメンタルを鍛えていない魔剣士にとっては、身投げと同等の恐怖があるだろう。素人に「ここから飛び降りろ」といったら、間違いなく死刑宣告だと思うはずだ。
だがアクセルは、あえてにこやかに言ってやった。
「大丈夫だよ。飛び降りるのはちょっと怖いけど、それも一瞬のことだ。いつの間にか『透ノ国』に着いているはずだから、安心していいぞ」
「っ……!」
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