2255 / 2296
第2255話
「ふふ、生意気なこと言っちゃって。ホント、可愛いなぁ」
兄も後ろから追いかけてきて、すぐに横に並んでくる。
そのままデットヒートを繰り返し、何とか家に辿り着いた。
ベランダにいたピピとカメは、盛大に息切れを起こしているこちらを見て「何してるんだ、あの二人……」と呆れた目を向けていた。
***
数週間後、いよいよ公式死合いが再開されることになった。
耳の早いチェイニーが情報を持ってきてくれて、「明日には死合いの対戦表が貼り出されるってよ」と教えてもらった。
それで翌日の朝、世界樹 の前まで一人で確認しに行ってみた(ちなみに兄は、「名前探すの面倒だから、お前見てきて」とこちらに確認作業を押し付けてきた)。
――久々の死合いだからな……相手は誰だろう。
誰であっても、見られて恥ずかしくない死合いにしなくては。
そう思って、自分の名前を一生懸命探した。全部で三〇〇〇人近くいる戦士の中から、自分の名前を見つけるのはなかなか骨が折れる作業だった。
「あっ……」
途中で兄・フレインの名前を見つけて、「相手は誰だろう」と視線を横にスライドしてみる。
が、相手の名前を見た瞬間、驚愕のあまり一瞬フリーズしてしまった。
「……は?」
見間違いかと思って何度も目を擦り、念のため指で名前の先を辿ってみる。けれど、何度確認しても結果は同じだった。
兄の対戦相手には、アクセルの名前が書かれていたのだ。
「あの、ちょっとすみません。ここに書いてある人の名前、見てもらっていいですか?」
念には念を入れ、近くにいた知らない戦士にも確認してもらう。
その人は軽く対戦表を見た後、呆れた口調でこう答えた。
「なんだ、あんたの名前じゃねぇか。自分の名前くらい自分で確認しろよ」
「す、すみません……見間違いかと思って」
「要するに、兄弟対決ってことだろ。あんたら、地味に有名人だからな。開幕一発目の死合いだし、盛り上がるんじゃね?」
そんなことを言われ、アクセルは大慌てで家に帰った。
留守番していたはずの兄はどこかに出掛けていて、せっかくの朗報を伝えられず出鼻を挫かれた。
ともだちにシェアしよう!

