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第2255話

「ふふ、生意気なこと言っちゃって。ホント、可愛いなぁ」  兄も後ろから追いかけてきて、すぐに横に並んでくる。  そのままデットヒートを繰り返し、何とか家に辿り着いた。  ベランダにいたピピとカメは、盛大に息切れを起こしているこちらを見て「何してるんだ、あの二人……」と呆れた目を向けていた。 ***  数週間後、いよいよ公式死合いが再開されることになった。  耳の早いチェイニーが情報を持ってきてくれて、「明日には死合いの対戦表が貼り出されるってよ」と教えてもらった。  それで翌日の朝、世界樹(ユグドラシル)の前まで一人で確認しに行ってみた(ちなみに兄は、「名前探すの面倒だから、お前見てきて」とこちらに確認作業を押し付けてきた)。  ――久々の死合いだからな……相手は誰だろう。  誰であっても、見られて恥ずかしくない死合いにしなくては。  そう思って、自分の名前を一生懸命探した。全部で三〇〇〇人近くいる戦士の中から、自分の名前を見つけるのはなかなか骨が折れる作業だった。 「あっ……」  途中で兄・フレインの名前を見つけて、「相手は誰だろう」と視線を横にスライドしてみる。  が、相手の名前を見た瞬間、驚愕のあまり一瞬フリーズしてしまった。 「……は?」  見間違いかと思って何度も目を擦り、念のため指で名前の先を辿ってみる。けれど、何度確認しても結果は同じだった。  兄の対戦相手には、アクセルの名前が書かれていたのだ。 「あの、ちょっとすみません。ここに書いてある人の名前、見てもらっていいですか?」  念には念を入れ、近くにいた知らない戦士にも確認してもらう。  その人は軽く対戦表を見た後、呆れた口調でこう答えた。 「なんだ、あんたの名前じゃねぇか。自分の名前くらい自分で確認しろよ」 「す、すみません……見間違いかと思って」 「要するに、兄弟対決ってことだろ。あんたら、地味に有名人だからな。開幕一発目の死合いだし、盛り上がるんじゃね?」  そんなことを言われ、アクセルは大慌てで家に帰った。  留守番していたはずの兄はどこかに出掛けていて、せっかくの朗報を伝えられず出鼻を挫かれた。

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