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第2258話

 アクセルは庭に出て念入りに準備体操をした後、軽くランニングを行った。  ピピもぴょんぴょん併走してついてきてくれた(一方のカメは、いつもの寝床で爆睡していた)。  ――死合い当日は、ピピとカメのご飯を作り置きしておかないとな……。  もしかしたら、あまりに戦いが激しすぎてどちらも帰ってこられないかもしれないし。  棺行きになっても大丈夫なように、準備はしっかりしておこうと思った。 ***  数日後。いよいよ兄・フレインとの死合い日となった。  アクセルはいつもより少し早く起床し、いつもより長めに朝の鍛錬を行い、武器もしっかりメンテナンスした。  その後、ピピとカメの食事をたっぷり二日分作っておき、ベランダに出しておいた。 「やあアクセル、おはよう」  一方の兄は、いつも通りに起床してきた。死合いが行われる当日であっても、特段身構えることはなさそうだ。さすがはランキング三位の強者というところか。  死合い直前はあまり胃に物を入れない方がいいため、軽く飲み物だけ飲むことにした。  適当にコーヒーにしようと思っていたのだが、兄が卵と牛乳、バナナ、砂糖をミキサーにかけてバナナミルクセーキを作ってくれたので、それをいただくことにした。 「せっかくの死合いだもの。途中でエネルギー切れを起こしたらもったいない。逆流しない程度には食べておきなさい」  そんな兄は、当たり前のようにドリンクを二杯飲み干していた。本当に全然緊張していないみたいだ。  ――二杯も飲んだら腹がタポタポになりそうだが……随分余裕だな。  死合い中に吐いたりえずいたりすることはない、とでも考えているのだろうか。  舐められているとは思わないが、兄がそのつもりなら、是非とも吐くまで追い詰めてやりたいところだ。  戸締りは兄にお願いし、アクセルは一足先にスタジアムに向かった。  出掛ける前にベランダに回り、ピピとカメに「俺たちが帰ってこなくても、ちゃんと食事するんだぞ」と念を押したら、ピピはパタパタと耳を上下させて「がんばれー」と応援してくれた(カメは相変わらず爆睡していた)。
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