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第2265話※

 素早い動きで攻撃を繰り出し、兄を攻め続ける。  だがそう簡単に兄は隙を見せてくれず、こちらの動きを読んでいるかのように攻撃を防いできた。  斬りたいのに斬らせてくれない。狂戦士モードで身体能力も上がっているはずなのに、ギリギリのところで届かない。  ――ああ、もう……!  早くあなたを斬りたい。あなたの血と肉を味わいたい。  俺だって少しは強くなったんだ。あなたに近づけるよう、コツコツ努力してきたんだ。  だから今度は俺が斬りたい。風の刃で掠めるのではなく、正面からザックリと。 「ハアッ!」  防がれた太刀を蹴り上げ、もう一度小太刀を振るう。  右と左の小太刀を時間差で横に振り抜き、右足を軸にして身体を一回転させた。  そのまま遠心力を利用してもう一回転し、連続の回転斬りをお見舞いする。 「っ……!」  兄が少し息を呑んだ。  思った以上の速さに計算が狂ったのか、防御のスピードが追いついていなかった。 「そこだ!」  一瞬の隙を見つけ、兄の胴体を斬りつける。  アクセルの小太刀は胸部と腹部に二本線をつけ、服と一緒に兄の肌を薄く切り裂いた。  パッと血飛沫が飛び、自分の頬にも兄の血が降りかかる。  ――まだだ……!  これでは足りない。感覚が浅すぎる。  もっと深く斬らなくては。せっかく狂戦士モードになったのに、この程度では到底満足できない。  もっとあなたを斬りたい。斬りたい、斬りたい、斬りたい――! 「興奮しすぎだよ、アクセル。力が暴走している」 「えっ……?」  つばぜり合いの時、ごく冷静に言われてアクセルはぽかんと兄を見返した。 「興が乗るのはわかるけど、我を忘れては駄目だ。ちゃんと現実を見なさい」 「……???」  何を言っているのだろう。自分はただ純粋に死合いを楽しんでいるだけだ。  我を忘れているわけじゃないし、暴走しているつもりもない。  心配することなんて何もないのに、水を差すようなことを言わないで欲しい。 「……タアアァァッ!」  よくわからなかったので、アクセルは構わず兄に斬りかかった。  兄の血と肉を求めるように、歯を剥き出しにして襲い掛かる。
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