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第2279話
それはまた随分と世話をかけてしまったようだ。後で礼を言っておかなくては。
立ち上がり、棺から出て自分の全身を確認する。特におかしなところはなく、いつもと同じように手も足も動いた。傷が残っている感じもしない。
「さて、それじゃあ帰ろうか」
兄にそう促されたので、アクセルは念のために尋ねた。
「兄上はちゃんと蘇生できたか? 完治してないまま早く目覚めたりしてないだろうな?」
「大丈夫、ちゃんと完治してるよ。何なら、後で確かめてみるかい?」
思わせぶりな台詞を囁かれたが、今はあえてスルーしておく。
二人で館を出たら、日差しがやけに眩しく感じた。青い空がいつも以上に綺麗だった。
仲良く家に帰り、真っ先にベランダを覗く。
作り置きしていた食事はすっかりなくなっていて、ピピもカメも待ちかねたようにこちらに寄ってきた。
「ただいま。二人共、いい子で留守番してたか?」
「ぴー……」
「……グァ」
どちらもちょっと元気がない。
カメはともかく、ピピは帰って来た途端じゃれついてくるのに、今日はそれもなかった。
おかしいなと思って首をかしげたが、とあることに思い至って恐る恐る聞いてみた。
「あのさ。俺たち、一体何日留守にしてた?」
「……みっか」
「えっ……?」
「だから三日ですよ。作り置きの食事が一日分しかなかったので、もう二日も何も食べておりません」
「えええ!?」
やはりそういうことだったか。
起きたのが昼間だったから翌日だと思い込んでいたが、実際は三日も経っていたらしい。
「ご、ごめん……! 今すぐ何か作ってくるから……!」
慌ててキッチンに駆け込み、食料庫にあった野菜や干し肉、その他使えそうな食材は全部切り刻んで大鍋に放り込む。
手早く水と煮込んで適当に味付けし、出来立てホヤホヤの肉野菜スープを抱えてベランダに出た。一緒に余っていたパンも出し、二日ぶりの食事を与えてやる。
ピピとカメは我先にと食事にありつき、一〇分もしないうちにパンとスープを完食してしまった。
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