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第2283話*
通常、死んだ戦士 は一人で棺に入る。二人以上で入った前例はないし、一人が当たり前だと思っていた。
だから今まで深いことを考えてこなかったけど、もし二人以上で棺に入ったら一体どんなエラーが起きるんだろう。蘇生の際にお互いの手足が入れ替わる……なんて間違いが起こったりするんだろうか。
――つまり今の俺の手足は、もしかしたら兄上のものかもしれない……ってことか?
いやいや、さすがにそれはないだろう。
自分の手足じゃなかったら違和感を覚えるし、そもそも兄の手足に気付かないはずがない。
そんな、自分以外の人物と混ざり合ってキメラ状態になるなんて、恐ろしいことをほのめかさないで欲しい。
一方、言い出した兄は全く気にしている様子はなく、脚の付け根にキスして顔を上げた。
「うん、でもお前の手足はちゃんとお前のものだね。安心したよ」
「だ、から……心配いらないって言ってん……」
「ちょっと気になってね。いくらお前のことが好きでも、お前と私は別人でないとさ。死合いもセックスも楽しめないじゃない?」
にこりと笑い、兄は改めてこちらの脚を開いて、その間に身体を滑り込ませてきた。
引き締まった双丘を左右に割り、熱くて硬い欲望をその奥に擦り付けてくる。
「っ、っ……」
「ふふ、ぴくぴくしてる。もう欲しくてたまらなさそうだね」
「う……」
「でも……そうだな、せっかくだからおねだりしてくれない? 何がどこに欲しいか、ちゃんと言ってくれたらその通りにしてあげるよ」
「はあ……!?」
そんなことを要求され、アクセルは愕然と目を見開いた。
素面ではもちろんだが、例えセックス中でもそういう欲求を口に出すのは強い抵抗がある。恥ずかしいし、そもそもそんなこと言わなくてもわかるだろう……というのがアクセルの主張だ。
わざわざ口に出させて、恥ずかしい思いをさせる意図が理解できない。
「あ……兄上、なんでそんな意地悪……!」
「たまにはいいじゃない。言わなくても察してくれるなんて、そんなの子供のうちだけだよ。いい大人なら、して欲しいことはちゃんと口に出さないと」
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