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甘い嘘

朝…… 君がベッドで目覚めた時、 寂しくないように僕は小さな嘘をつく 「おまえ、いつ起きたんだよ」 「おはよう……今だよ」 そう隣に寝てる君に囁き、そっと後ろから抱きしめた。 「あのさぁ……」 振り向くことなくため息混じりに君が呟くと、君の首筋に顔をうずめながら僕は優しく返事をする。 「なに?」 すると不機嫌そうに、でも少し照れたような口調の君が、 「毎朝嘘つくなって……ほら、コーヒーの匂いするし、トーストが焼けた匂いだってする」 そう話の続きを口にした。 「気の所為じゃない?」 「んなわけあるかよ、どうして毎朝俺より先に起きてるくせに嘘つくんだ……」 そして僕はその答えを口にしない代わりに、小さく息を吐く。 「お、おい、無言にならないでなんか言えよ」 「だって……言ってもいいの?」 「そうさっきから言ってるだろっ」 少しムキになる君が可愛くて暫くそのまま無言でいると、身体を捩りながら僕の腕から逃げようとして、 「もういい。だから離れろ、鬱陶しい」 そう君は可愛い嘘をつく。 ホントに君は…… 素直じゃないのがどうしようもないくらい可愛い。 だから、そんな君の腕を引いてそのまま勢いよく組み敷き見下ろすと、僕はゆっくりと顔を近付け、こう続きを口にするんだ。 「……理由なんて、君が一番分かってるくせに」 すると、真っ赤な顔に色付いた君が視線を反らし、知らない……とまた嘘をつく。 君の嘘は甘くて甘くて…… それは僕を溶かしてしまいそうなほどだ…… 「虫歯になりそうだな」 「は?」 「いや、なんでもないよ」 だから僕は、きっと明日もまた同じ嘘をつくのだろう…… ────君からの甘い嘘を楽しむために……

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