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バレンタインSS/2013版~大地×小太郎
*2013年に書いた「一途な野獣」の大地×小太郎のバレンタインSSになります。
本編未読でも楽しめます。
なお、こちらの続き(ホワイトデーVer.)はホワイトデー当日に公開します。
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『ほろ苦いヤキモチ』
明日はバレンタインデー。この歳になってこんなにこの日を意識することになろうとは……
しかも、俺があげる側なんて……
いや、でも別に貰えると思ってないかもしれない。
そんな風に決断が出来ないまま結局前日になっちまった。
『好きな人にチョコと想いを贈ろう……』
夕飯の買い物をとスーパーに寄ったら、そんなキャッチコピーと共に数十種類のチョコが陳列されていた。
チョコと想い…ねぇ……
今さら、んなことしなくてもと思いつつも、結局カゴの中に一つ入れてしまった。
そして次の日、妙にそわそわしながらカバンにチョコを忍ばせ学校へ向かい、
“時間あったら帰りに化学室寄ってくれ”
そう昼休みに、意を決して星川にメールを送ると、すぐに“分かりました”と返信が来た。
そして、あっという間に夕方になり職員室を出て、化学室へと向かう途中、屋上に続く階段の踊り場で聞き覚えのある声がしてふと足を止めると…女子生徒が星川にチョコを差し出し告白中だった。
「あの……気持ちは嬉しいんだけど、僕にはその気持ちに応えてあげることは出来ないんだ」
「好きな人とかいるの?」
「う、うん。だから…ごめんね」
「……星川くんの気持ちは分かった。でもチョコはせっかく作ったからあげる。それくらいいいでしょ?」
「……ごめん、受け取れない」
「相変わらず真面目だね。まぁ、そんなとこが好きなんだけど…仕方ない、分かった」
「……ごめん」
おいおい…あいつモテモテじゃんか。
つか、好きな人って…俺なんだろうな、多分。
まぁでも、チョコくらい貰ったっていいのになぁ。
俺は大人だからそんぐらいで嫉妬したりしねー……のに……と言いつつ、胸がチクりとした気がした。
いやいや、でも年上だしそんぐらいでヤキモチとかちょー重い。だから出来るだけ寛大な心でいようといつも心掛けてる。
今日だってそうだ。別に大したことないと平気な顔して俺は化学室へと向かった。
そして、少ししてからコンコンとドアをノックする音が聞こえ、ガラリとドアが開いた。
「すいません、遅くなりました」
「別に平気。つか、今そこの階段でおまえコクられてたろ」
「聞いてたんですか?」
「うん。別にチョコくらい貰ってやってもいいんじゃないの?」
「は?先生はそれで平気なんですか?」
「別にそんぐらい…っおいっ!」
……平気と言う前に、すげー恐い顔で星川が俺の前まで歩いてきていきなりガシッと抱きしめてきた。
「僕が他の女の子からチョコ貰っても本当に平気なんですか……?」
恐い顔とは対象的にそう言った声は少し不安げで、大人気もなくキュンとしてしまった。
「……いや、平気じゃ…ないかも」
「かも?……僕は絶対にイヤです。好きな人からしか貰ってほしくないし、貰いたくない」
「う……うん、だよな。俺もやっぱイヤだ」
俺も安い男だ。恋人の一言でほろっと本音を吐いちまうなんて。
俺を抱きしめる腕に力を込めながら、“よかった”と小さく呟く星川がなんかすげー可愛く思えて自分からチュッと触れるだけのキスを落とす。
すると、ほっとした表情を向けながら星川が聞いてきた。
「先生……チョコは?」
「やっぱいる?」
「当たり前じゃないですか。先生からのチョコが欲しい」
少し顔を離して、今度は星川が深いキスをしてくる。
「……んっ…んんっ…あのさ、、、」
あの女の子みたいに手作りでもなければ有名ブランドのチョコでもないスーパーの安いチョコ。
そんなのでもおまえは嬉しいのか?
「先生が選んだチョコならどんなチョコだって嬉しいです。だから、白衣のポケットに入ってるチョコ僕にください」
「おまえエスパーかよ。仕方ねーな、ほら。スーパーの安物だけど文句言うなよ?」
赤いリボンがかかった黒い正方形の小さい箱を渡せば星川は嬉しそうそれを受け取ってくれた。
「文句なんて…言うわけないじゃないですか。嬉しいですよ、ありがとうございます」
「う、うん」
*
「……ちょっ…待てって、ここがっこ…う…あっ…」
「だから、キスだけで我慢してるじゃないですか」
あげたチョコを口移しで食べさせて欲しいと要求され、一回だけならなんて言ったのが間違いだった。
そのまま舌を絡めながらエロいキスをされ、俺の口端から唾液が流れ落ちそうになって慌てて白衣の袖で拭う。
「……ふっ…ん…これ以上は…っ…」
「でもチョコまだ残ってますよ?一緒に食べましょうよ」
「やだよっ。一回だけって言ったろ?あとはうちに帰ってからにしろよ」
「分かりました。うちで食べさせてくれるんですね、なら我慢します」
「はぁ?!なんでっ…んんっ……」
なんでその流れになるんだと文句を言う前にまた口を塞がれる。
容赦しない激しいキスで俺のモノが反応しかけた頃、耳朶を甘噛みされた。
「先生……勃ってきちゃいましたね」
「バカっ。おまえがこんなとこで盛るからだろ!」
「だって先生が可愛いからですよ。本当は甘いもの好きじゃないのに僕の我が儘に付き合ってくれたり、さっきだってヤキモチ妬いてくれて僕、嬉しかったです」
「俺は大人だ!ヤキモチなんか妬かねーんだよ!」
「はいはい。じゃあそう言うことにしておきましょう。でもいつかもっとヤキモチ妬かせてみせますから。じゃ、帰りましょうか」
なんでもお見通しなのがすげームカつく。
多分、俺が選んだチョコがビターだったのもこいつには全て見透かされてんだよな……
そして苦笑しながらも、俺はまたチョコを口に含み年下の恋人の口を塞いだ。
俺のほろ苦いヤキモチを閉じ込めるようにと深く、深く────
END
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