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ホワイトデーSS/2013版~大地×小太郎

*2013年に書いた「一途な野獣」の大地×小太郎のホワイトデーSSになります。 本編未読でも楽しめます。 なお、こちらはバレンタインSSの続編になります。 **** 『甘酸っぱい駆引き』 ────1ヶ月前、なんとか渡せたバレンタインデーのチョコ。 そして、明日はホワイトデー……… 俺は、 年甲斐もなく…そわそわしてた。 なぜなら、目の前にホワイトデーの“お返し”らしき物が無造作に置かれているから。 今日はうちのマンションで星川と過ごすことになっていたから何の疑問も持たずにうちに招き入れた。 だって、今日はホワイトデーの前日だし何の日ってわけでもない。 だが、俺が風呂から上がるとテーブルの上に茶色い正方形の箱に黄色いリボンがかかったそれを見つけてしまい、なんだかそれが妙に気になりだした。しかも、なんか箱が異様にでかいし。 これ………俺に…だよな? 恐る恐るリボンをチョロッと摘まんで持ち上げようとしたとこで、入れ替わりに風呂に入っていた星川が戻ってきた。 「先生?何してるんですか?」 「え?!あっ…いや、なんでも……。あのさ…これって……」 摘まんだままだったリボンを手から放し、なんとなく聞いてみた。 確率的に絶対俺のだし、それ以外に何があるって言うんだくらいの勢いで。 しかし返ってきた返事は予想外だった。 「…………それ、先生にじゃないですから触らないでくださいよ。」 「…………は…?だって、これ、ほ、ホワイトデーの……」 「確かにお返しです。でも先生にではないです。」 しれっとそんな返事をされて、俺はと言うと…… 「そ……そうなん、だ……」 一気に落ち込んでしまった。 「あ、先に寝ててください。僕も明日の用意したら寝室行くんで。」 1ヶ月前、あんなに“好きな人以外からチョコはもらわない”って言ってたくせに。 お返しをする奴がいるってことは、結局チョコ受け取ったのって俺だけじゃねーってことじゃん。 不貞腐れながらも、誰へのお返しだ…なんて聞けないへたれな俺は“わかった”と短い返事をして寝室へ向かった。 ……たくっ、誰にやるやつなんだ。 モヤモヤする気持ちを落ち着かせようと、煙草を一本取りだし口にくわえてみたけれど、結局それも箱に戻してしまう。 そして頭まですっぽりと布団を被り本格的にふて寝スタイルに。 もういいや、明日になりゃきっと俺へもお返しくれるだろ。 寝よう、寝よう。 ……そう、自分に暗示をかけてみたものの、 「やっぱなんかムカつく……」 思わず口に出してしまった。 すると、すぐ耳元で星川の声が聞こえてくる。 「何がムカつくんですか?」 「おまっ、聞いてたのか?!」 「はい。先生?何がムカつくの?」 布団の上から覆い被さるようにのし掛かる身体。そして更に、俺の耳元では甘い言い回しでしつこく聞いてくるから仕方なく正直に暴露してしまった。 「…………さ、さっきの……お返しの箱…誰…に、だよ。」 「ヤキモチですか?」 「ち、違う!」 「でも気になるんでしょ?」 「………………。」 このしてやったりのこいつの態度ムカつく。 「しょうがないですね。もっとヤキモチ妬かせたかったけど……これ。」 布団を剥ぎ取られ、目の前に差し出されたのはさっきの箱ではない別の箱。 「は……?」 「は?じゃないですよ。ホワイトデーのお返しです。開けてみてください。」 丸いピンクの箱にピンクの水玉のリボンがかけられている。 さっきのやつよりすげーメルヘン寄り。 それでも言われるがままリボンをほどき箱を開けると、黄色いケーキらしきものが入っていた。 「なに?ケーキ?」 「レモンケーキです。先生甘いの苦手だから、クッキーとかキャンディーとかよりこれがいいかなって思って。」 「そうだけど…つか、これってわざわざ買ってきたのか?」 美味しそうだけど、こんなピンク尽くしのパッケージ一体どこの店なのかそれが気になった。 「ちゃんと作ったんですよ。」 「へ?!」 「ちゃんと先生の為に僕が作りました。こっそり下準備したのを持参して、先生がお風呂に行った時に完成させて冷蔵庫に入れておいたんです。」 「へーいつの間に。じゃあ、このピンク尽くしもおまえが買ってきたの?」 「そうですよ。先生ってピンク似合いそうだから。まぁ、完全に僕の趣味ですけど。」 そう言って俺にのし掛かっていた身体を離すと一気に背中が軽くなった。 そして星川は、いつの間にか用意してあったホークを取り出すとケーキに突き刺し一口分を取り分け嬉しそうに俺の口元へと差し出すと…… 「はい、あーん。」 「あーん…じゃねーよ!んなこと出来るか!」 「たまにはいいじゃないですか。甘える先生見てみたいし。それに……」 「それになんだよ。」 「大人しく、あーんしてくれたらさっきのお返し誰にあげるやつか教えてあげますよ?まだ気になってるんでしょ?」 「………………。」 あーんなんて恥ずかしいに決まってるけど、やっぱりあれを誰にやるのか気になるのは事実で…… 「はい先生、あーん。」 「……………あー…ん…」 ……結局してしまった。 あーんは恥ずかしかったけど、味は文句なしに旨い。レモン味のピューレが乗ったレモンムースの下にココア味のスポンジが敷いてあって酸味と苦味が丁度いいバランスで、甘い物が苦手な俺でも食べやすかったし。 「どうですか?味。」 「う、ん……旨いよ。甘酸っぱくて俺でも食べれる。つか、あーんやったんだからさっさと教えろよ。」 「僕、クラス委員長もしてるんですよ。」 「だから?んなこと今関係ねーじゃん。」 「バレンタインの時にクラスの女子全員から男子全員にってチョコを貰ったんです。だから、僕が代表して用意したのが……」 「あれか!!」 「そうです。」 だからあんなでかかったんだ。 「つか、おまえあそこに置いたの……」 「わざとです。1ヶ月前のこともあったし、ちゃんとヤキモチ妬いてる先生見たかったから。」 1ヶ月前って… 「おまえ…結構めんどくせー性格してんな。」 「先生限定なんで安心してください。さて、寝ましょうか。」 「ね……んの?」 ねちっこい性格してるくせに時々こうして淡白だから俺はいつまでたってもこいつに振り回されっぱなしだけど… 「そんな顔の先生も大好きです。」 「はぁ?どんな顔だよ?」 「いいんです、僕だけが知っていれば。」 「ムカつくな…」 「どんな先生も大好きだってことです。」 「うっせ……んんッ…」 ……結局はキス1つで全部許してしまうダメな俺。 惚れた弱みとはこう言うことを言うんだな…… そんなことを考えながら俺は、レモン味のキスを何度も味わった。 END

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