人生とは何が起きるか予想がつかないから面白い。 そんなことを誰かが言ってたけど……ストーカーだった男と恋仲になった俺の人生も確かに予想外だった。 「なお……っ……もう、いいって」 「なんで……？ もっと気持ちよくして……あげる……よ……っ」 「それ以上……っ……舐めたら……ダメ……だっ」 俺の下半身に顔を埋めていた那央也を無理矢理離すと、ふくれっつらのまま咳き込み睨まれた。 「修ちゃんのケチ……」 「どんだけ舐めたら気が済むんだよ」 「だって……修ちゃんの……ココ大好きだからもっと舐めたい」 「お前なぁ……」 「許されるなら全身舐め尽くしたい！」 「遠慮しときます」 黙ってたら爽やか好青年で女の子からモテそうなイケメンなのに……俺に言わせたら、こいつはちょっとズレてる。 ……と、言うか、さすが元ストーカーだけあるって思考がぶっ飛んでる。 「またそうやって冷ややかな目で見る。でもそんな目で見つめられたら余計ゾクゾクするけどね」 「はぁ……那央也……。俺はいつかマジでお前に監禁されそうだよ」 「それ、結構根に持ってるよね。何かにつけて言われる気がするんだけど……言っとくけど俺、そんなことしないよ？」 「……ふーん」 「またそうやって冷ややかな目で見る。俺は告白したら諦めるつもりだった」 「ほんとに？」 「……う、うん。時々は……改札を抜けて颯爽と歩く修ちゃん思い出して悶々としながら一人でするかも……だけど……」 「そんなネタがオカズになるお前がすごいよ」 「だってそんな姿くらいしか見たことないもん」 あからさまに肩を落とす那央也を見ていたら、改札口で見つめていただけだったのは本当だったのかとかわいそうに思えてきた。 かわいそう……いや、いや、そこで同情してどうする。 「とにかく、今日は先に進もう」 「ほんと？！ 手を繋いでキスして、フェラまでさせてくれて、次は……」 「何して欲しい？」 那央也を見下ろし、両手を絡ませシーツに縫い付ける。そのまま鼻が擦れるほど顔を寄せると答えを待った。 「…………」 「那央也？ おい、固まってるぞ？」 「…………か……」 「……か？」 「押し倒して……俺を見下ろす修ちゃん……かっこいい……」 目を潤ませながらそんな可愛いことを言うから俺の理性はギリギリだ。 「那央也……」 「待って……無理……イきそう」 「え……」 「は、恥ずかしい……です。勘弁……してください……」 忘れてた……こいつは元ストーカーなだけあって童貞だ。聞けば女の子と付き合ったこともなければキスも俺とが初めてだったらしい。 「刺激……強すぎた？」 「は、はい……」 「ここぞという時に敬語になるのそろそろやめろよ」 「無理……です。好き過ぎて無理……」 計算なのか無意識なのかこういうの、男は弱い。そんな反応されたらこっちは理性なんて木っ端微塵だ。 「お前……なんかわかんないけど可愛い過ぎ……」 「しゅ……っ……んんっ……ダメ……っ……」 舌を絡ませながらキスを深くすると、応えるように繋いだ手に力を込めてくる。 「これがディープキス……っ……ちゃんと覚えろよ」 「んっ……ふ、んっ……あ、……っ」 俺の言葉なんか耳に入らないくらいに感じる那央也を愛おしく思いながらも、今夜も夜が更けていく。 ＊＊＊ 「続きは？」 「お前が気を失ったから続きはおあずけ」 「いつになったら最後までできるんだろう」 「それはこっちのセリフだって……ディープキスで気を失うってどんだけウブなんだよ」 「憧れの修ちゃんにディープ……無理無理！」 「はぁ……」 最後までできるのはいったいいつになるのか……道のりは長い。 「……修ちゃんごめんね」 「いいよ。気にするな」 元ストーカーを一人前の恋人にする日はまだまだ先な気がする。 けど、それもまぁ悪い気はしない。 これが惚れた弱みってやつなのかもな…… 続く……？(笑)