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TwitterリクエストSS『オレンジ』
※Twitterでお題リクエストしていただいたSSになります。
お題→全年齢
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あと何度触れたらドキドキしなくなるんだろう。
キミに触れる度、胸の鼓動は早くなるのに想いはきっと届かない。
「なぁ、聞いてるか?」
「え、あ……あぁ、うん」
「お前が勉強教えてくれって言い出したんだからな、クソ忙しい放課後に」
「忙しくないじゃん、どうせ暇だろ」
「帰って寝るんだよ、充分忙しい」
口が悪くちょっととっつきにくそうな外見、勉強ができるようにはとても見えないのにクラスで一番頭がいい煌(こう)。
勉強を教えて欲しいとお願いしたのはもちろん口実だ。
そんな彼の第一印象は絶対友達にはなりたくないタイプだった。
煌と言葉を交わすようになったのは何時だったか……と、夕焼けに照らされた少し不貞腐れた横顔を盗み見る。
確か、初めての会話も放課後の教室だった。
「煌と、初めて話した時も今日みたいな放課後だったよね。覚えてる?」
「んあ? 覚えてねぇよ。つーか、早くやれ」
補習で一人居残りしてた時、俺に話しかけてきたのがまさしく煌だった。
「お前さ、そんなのもわからねぇのかよ」
今みたいに面倒くさそうで、でもほっとけないように俺に向けられ声。
顔を上げた時、目の前に現れた煌に何故かドキッとした。
夕焼けに染まるオレンジ色を背景に見た煌はなんていうか……凄くカッコよくて、あれが好きになったきっかけのかもしれない。
「ちゃんと覚えてるじゃん」
「何の話だ」
「初めて煌が話しかけてくれた時の会話だよ。今と同じこと言われた」
「そうだっけ、忘れた。ユウ、真面目にやらなねぇならマジで帰るぞ」
優介(ゆうすけ)だからユウ。いつの間にか煌は俺の呼び名を変えた。
ユウと呼ばれる度に、何故か不思議と嬉しくて、こうして隣にいるだけでドキドキする。
「煌……」
すぐ傍の手を掴んで訴えかける。
もっと一緒にいたい……好きだから。
そう口にしたいのに、続く言葉は声にはならない。
落とした視線の先には難しい数式が並ぶ。
答えは一つなのに……辿り着くまでが長くてややこしい。
まるで俺たちみたいだと思ったと同時に煌の声が降ってきた。
「置いてかねぇよ。ちゃんと待ってるから早く解け」
恋に答えがあるのなら、俺たちはどれだけ複雑な数式を使えば解けるのか。
友達以上恋人未満、都合よく当てはめてもしっくりこないのは煌が中途半端に優しいからだ。
優しさの裏側に恋が存在するのか、想いを口にする前に飲み込んで今日も「わかった」と言って手を離した。
END
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