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第9話
ポタリポタリと赤い蝋が肌に垂らされる度に身体が熱さのせいで跳ねる。
「あ、あつい…やめ…やめて…」
「何処が気持ちいい?」
政行さんが俺の乳首や、ペニスに蝋を垂らしてくる。
俺はその熱さから逃れようと身体を捩ろうとしたところで政行さんに腕を絡めとられた。
身動きが完全に封じられた状態で蝋が俺の肌を埋め尽くしていく。
はじめは熱かったのだが蝋が厚みを増すと、熱さが遠のいていった。
「ひぅぅ」
「そんなに熱かったか?今剥がしてやるからな」
「ひゃあぁぁぁぁ!!!」
政行さんが、俺の左の乳首にできた蝋の山を摘まんで少し強引にペリペリと外す。
俺から見ても乳首は更に赤くなっており、それにふぅと息を吹き掛けられると目の前に火花が散った。
ガクガクと腰が浮いて、蝋の隙間から液体が吹き出す。
「あーあ。股間のはまだ剥がしてないのに、潮吹きしちゃったかぁ」
「あついぃぃ」
太股に蝋が垂らされる。
熱さに思わず足を振り上げてしまうが、空を切るだけで終った。
俺の動きに合わせてギリギリと縄が絞まっていく。
「暴れるとどんどん縄が絞まっていっちゃうんだぞ?」
「な…縄…はずし…はずして」
熱さと痛みで生理的な涙がポロリと頬を伝っていく。
政行さんが俺に見えるように蝋燭の火をふぅっと吹き消した。
俺はそれを見て、これ以上熱で肌を焼かれる事はないんだと安堵して身体の力を抜いてしまった。
「ひぅ!!」
「油断大敵だぞ?」
緩んだ孔に、政行さんのぺニスが侵入してくる。
政行さんの言葉通り油断していた俺は、政行さんのぺニスをすんなりと受け入れた。
そのまま大きく身体を折り曲げられたかと思うと、少し上から腰を落とすように動かされ部屋には肌同士がぶつかる音がしている。
「あっ、あぅ…あむぅぅぅ」
「ふふふ。まるで夢みたいだ」
俺の意識が朦朧としているなか、政行さんは俺にねっとりと舌を絡ませるキスをしてくる。
激しく身体を揺さぶられ、俺の弱いところばかりを重点的に攻め立てられて呆気なく絶頂に達した。
「はぁ…はぁ…えっ?」
「孕ませるまで終わらないって言ったよな?」
腹の中に熱を感じ、無意識に解放された手で腹を撫でる。
俺が息を整えていると身体がふわりと持ち上げられる。
お互いが向かい合ったまま座った状態になり、俺の頬が今更ながらにかぁっと熱くなるのを感じた。
「ホテルから散々種付けセックスしてるのに、今更恥ずかしいのか?」
「だっ…て…」
耳元に吹き込まれる言葉に、俺は恥ずかしくて政行さんの肩に顔を埋める。
拘束されている縄の痛みに喜んでいる自分を改めて正面から観察されると、身体に力が入って政行さんを締め付けてしまう。
「あぁ…そう言うことか」
「んんっ」
政行さんが楽しそうに乳首を弾いてきた。
俺は政行さんにしがみつき、快感に耐える。
その間に、拘束が解かれベッドの上に赤い縄が落とされとぐろを巻いている。
最後に首の結び目が外される瞬間、寂しさが込み上げてきたが政行さんが身体を屈めて乳首に吸い付いてきたのでそれどころではなくなった。
完全に縄が外された俺の身体にはくっきりと、厭らしく縛られていた痕が残ってしまっている。
「新しく縛って欲しかったんだよな?」
「あっ…」
政行さんが縄の痕を指先でなぞる。
俺は違うとも言えず、期待感からこくりと頷いた。
政行さんは俺からぺニスを引き抜くと、すぐに俺の事を先程の赤い縄で縛っていく。
大きく足を広げ、胸を強調するような縛り方をされてやはり恥ずかしさを感じたが、それよりも政行さんに全てを観察されてしまっている事を感じて孔がパクパクと政行さんを誘っている方がもっと恥ずかしかった。
「優希は前の父親の事知ってる?」
「え?いきなり…なに?」
見下ろされた状況で問いかけられた話の内容があまりにも唐突すぎて、政行さんの顔をまじまじと見返す。
政行さんは何も表情を浮かべておらず、真顔だった。
流石の俺も異変に気が付いて動きを止める。
「俺は、βながら会社で営業成績の良いお前の父親に興味を持った。何度か言葉を交わし、次第に仲良くなった頃、結婚するのだと言って嬉しそうにしているお前の父親を見て俺はこいつが好きだったんだと自覚したよ」
「・・・・」
「俺もαとして結婚を迫られ、αの女性と結婚した」
政行さんの話に、俺は固唾を飲む。
しかし体勢を整えようにも、縛られた状態では身動きが取れず俺はただじっとしていた。
しかし、真面目な話をしているはずなのに俺に触れる手は俺をどんどん追い込んでくる。
「俺が海外に出向になっているあいだに、お前の父親は会社を辞めていた。海外から帰ってきたら、あいつはいつの間にか亡くなっていた」
「え…」
政行さんは悲しそうに俯いた。
俺からは表情は見えなくなったが、震えている肩は泣いているからかもしれない。
しかも、俺は母親からは父親と離婚したと聞いていたので会いたくなればいつか会えると漠然と思っていた。
それなのに、俺は知らない間に父親を亡くしていたらしい。
「だから俺の地位にしか興味のない女とは別れてあいつの忘れ形見のお前を手に入れる為に、お前の母親と結婚した」
「そんな…」
「身体の相性は抜群だろう?」
「うぅ…」
政行さんの語る真相に、俺の思考が付いていかない。
孔に指を差し込まれぐちゅぐちゅと掻き回され、縛られているせいではねのける事ができなかった。
政行さんに躾られた身体は、俺の思考を置いてきぼりにして快感を追い求めはじめる。
「優希はβだけど、Mの素質もメスの素質もあるよ」
「んんんっ」
ゆっくりと政行さんが俺の膣に侵入してきた。
足を縄で大きく開かされているので侵入を阻止することができない。
トントンと小刻みに突き上げられる。
「これで安心して俺の子供を孕めるぞ」
「あ、赤ちゃん?」
「やっと自覚したのか?ここに俺の子供を孕ませるまで終わらないって朝から何度も言ってるよな?」
政行さんの手が、俺の肌を滑り下腹部を撫でる。
ずっと家では寸止めで焦らされていた様な状態だったので、この旅行が楽しみで仕方がなかった。
ラブホテルで“孕ませるまで種付けする”と言われては居たが、俺は所詮平凡なβだ。
Ω性に比べてβ性やα性の男の妊娠率は極めて低い。
そもそもβ性同士の同性カップルや、α性とβ性の同性のカップルの正式なデータ自体が少ないので確率など正確な数値は分からない。
その事を学校の授業で習って居たので俺は心の何処かで“妊娠”が遠い現象すぎて安心しきっていたのだ。
そもそも自分がそんな対象になるなんて思ってもいなかった。
「ゆっくりするの、やだぁ」
「優希…知ってたか?朝飲んだジュースには、排卵を促進させる薬も入ってたんだぞ?」
政行さんが意地悪く腰の動きを更にゆっくりとした物に変える。
もっと強い刺激が欲しくて、自ら腰をゆらゆらと揺らし政行さんを誘う。
耳元で囁かれた言葉に背筋に電流が走った。
同時に口付けられ、両方の乳首を強く摘ままれた事で絶頂をむかえる。
「言葉だけで想像して逝っちゃったのか。膣を痙攣させながら、凄い締め付けてくるもんな」
「あがっ!!ち、乳首…やっ」
「今からおっぱいトレーニングしておこうな」
「いたっ…爪たてないでぇ」
身体が絶頂の余韻に浸る暇もなく政行さんは乳首を執拗に攻め立ててくる。
乳首の先端を引っ掻く様に爪を立てられ、痛みで仰け反ったせいで腰が浮いてしまう。
腰が浮いたせいで膣内をみっちりと占領していたぺニスが抜けそうになる。
「こらこら。抜けちゃうだろ?」
「お゛ぐっ!!」
政行さんが乳首を刺激を止め、腰を掴んで強引に引き寄せる。
腹の奥に急にドスンと重い衝撃が走り、目の前が真っ白になった。
遠くでパシャパシャと水が落ちる音が聞こえたが、その音の正体を知る前に新たな衝撃が腹に走る。
「おー凄いな!潮吹きしながら、身体が勝手に子宮を下におろしてきたな。ほら優希!子宮にコツンコツン当たってるの分かるか?」
「お゛っ、あ゛ぐぅ…」
身体を折り曲げられ腹に温かい液体が降り注ぐ。
赤い縄がその液体を吸って黒く変色しはじめ、胎内からは確かに政行さんのぺニスが何かに当たる感覚がある。
重点的に際奥を攻め立てられ、俺のぺニスからは壊れた蛇口の様に止めどなく液体が溢れていた。
もう、言葉を発することさえできない位に快楽に支配されていた。
「自分の潮吹きでびしょびしょだな。折角露天風呂のついた部屋を予約したんだから、一回は入っておきたいよな」
「お゛お゛お゛…あひういてりゅ!」
政行さんが思い付いた様に俺を持ち上げた。
縛られているせいで政行さんに掴まる事もできず、背中に回った腕と政行さんのぺニスの三点で支えられているだけの状態に俺は焦る。
しかも持ち上げられた事で足が浮いて先程とは違うところにぺニスの先端が当たって、何度目か分からない潮吹きをしてしまった。
そのまま歩きだした政行さんの足元には小さな水溜まりが点々と続いている。
「俺も発情期 の促進薬を飲んでるから、まだまだ終わらないからな?」
「ひっ、だめ…もう休ませてぇ」
縄を解かれ、部屋の外にある露天風呂の縁に手をかけた状態で後ろから突き上げられている俺の疲労はピークに達していた。
足に力が入らず倒れそうになったところで、政行さんに抱き止められる。
政行さんに挿入されたまま露天風呂に浸かり、耳の裏を舐められながらかけられた言葉を聞いて俺はついに意識を飛ばした。
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