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第10話

何度目か分からない射精を腹に受け、気が付いた時には外が明るくなってきていた。 チュンチュンと雀の声が窓の外から聞こえてくる。 「はぁ、はぁ、はぁ」 「どうだ優希?」 身体は疲労で小刻みに震えていたが、政行さんが優しく俺の腹を撫でる。 後ろから抱き込まれて、耳元で優しく問いかけられ俺は政行さんを見上げた。 そのまま口付けられ、政行さんに舌を絡め取られる。 分厚い舌に俺の舌を絡めとられ、口の端からはぐちゅぐちゅという音がしていた。 「あし…足が」 「あぁ。凄い震えてるな」 仰向けの政行さんの上に俺も仰向けで寝ている。 大きく足を開いている状態なので、股関節が外れそうなのかとても痛い。 その事を伝えようにも息が上がっているせいか言葉が出てこない。 政行さんは俺の言いたいことを別の意味で勘違いしたのか笑って太股の内側を撫でてくる。 乾いた分泌物のせいで肌が突っ張って不思議な感じがした。 「そろそろ朝飯の時間だな」 「え…」 「一晩中沢山注いだから、別の物で腹一杯か?」 政行さんが、ベッドサイドの時計を確認したのか俺の腹を撫でながら言った言葉に耳を疑った。 夕飯の時に朝食の時間を中居さんに聞かれたのを思い出しす。 確か一番遅い時間帯を政行さんが指定していたはずだから、今は8時近くになるということだ。 夕飯が終わってからすぐ政行さんと行為に及んでいる筈だから一晩丸々していた事になってしまう。 「の、ど…かわい…た」 「腹も空いたしなぁ」 喉の痛みと同時に、喉の渇きを覚えてぽつりと言葉が溢れる。 政行さんは俺の首筋にちゅっとキスして腹筋で起き上がった。 挿入の角度が変わって少し痛みを感じる。 しかし、今は指を動かすのも億劫だ。 「んっ、んんん」 「おっと…沢山注いだのに外に出ちゃうだろ?」 俺を持ち上げてぺニスを引き抜く政行さんは、俺の孔に指を押し込んで精液が漏れない様にする。 その指にまで俺は反応して身体が震えた。 政行さんが何やら後ろでゴソゴソとしているのを感じるが、俺は疲労感でうとうとしはじめてしまう。 「流石に一晩中してたらゆるくなってるな」 「ん?」 「ぽっかり開いてて厭らしいぞ?」 政行さんが何かを言っているが、俺は眠くてベッドに手をついている状態で声も遠く聞こえるし、そもそも言っている言葉の意味が理解できてない。 孔を左右に開いたのかゴポゴポという音と共に太股の内側に熱い様な冷たい様な物を感じた。 ふるりと背中を震わせると、孔に何か冷たい物が当たる。 そのままゆっくりと押し入ってきたせいて、違和感が凄い。 政行さんの掌が俺の腹を支えているお陰で、ベッドに沈みこまなくてすんでいる。 このまま寝転んでしまうと寝てしまいそうだ。 「プラグ入れておいてやるから、これで漏れ出てこないぞ?」 「あ、ありがと…」 俺は震える足で膝立ちの状態でお礼をいってしまった。 俺は大きなあくびをして着るものを探す。 シャワーを浴びたいが、とりあえず喉が乾いたし気が抜けたせいか空腹感も襲ってくる。 「こらこら。汚れてるのに、着替えられないぞ」 「んー。そんなに言うなら義父さん拭いてよ」 「なんだ甘えん坊か?」 動くのがそもそも億劫なのに、政行さんに注意されて俺はムカッときてしまった。 俺は政行さんに背中を預ける様に座ると、プラグが内側を擦るが俺は何とかその刺激に耐える。 政行さんがニヤニヤと笑っているが、俺は少しムカつきながらも拭いてもらう気満々だった。 散々俺の身体を好き勝手にしたのだ。 これくらいして貰ってもバチはあたらないだろう。 「我ながら沢山出たな」 「腹へったぁ」 「はいはい。もうしばらくお待ちください」 政行さんが枕元のティッシュの箱を引き寄せ、後始末をはじめたが身体についた精液を拭いながらしみじみと言うもんだから流石に恥ずかしくなって誤魔化すみたいに空腹を訴えた。 政行さんはそれもお見通しなのかクスクスと笑って服まで着せてくれる。 「浴衣じゃないの?」 「流石にこれで浴衣は着れないだろ。それとも優希は他の宿泊客にさっきまで俺達ガンガン生ハメ子作り種付けセックスしてましたって知られたいのか?」 「ちょっ!!下品だぞ!」 「事実だろ?」 俺が今着ているのは有名スポーツブランドのウェアで、てっきり昨日の夜に着ていた備え付けの浴衣を着せられると思っていたので不思議に思って聞いてみると予想外の言葉が返ってきて焦った。 確かに政行さんの言葉は今のところ全て事実だが、あまりにも言葉選びが下品すぎる。 これでエリートαだと言うから疑わしくなってきた。 確かに身体には拘束されていた痕や、キスマークなど情事の痕跡がはっきりと残っているので浴衣なんて着たらヤバイかもしれない。 「ほら。ファスナー閉めて」 「ちょっ!!それくらい自分で…」 「朝食、食いっぱぐれるぞ」 ジャージの上着のファスナーまで政行さんが閉めようとしてくるので、慌てて自分でやろうとするが素早くファスナーを上げられてしまう。 政行さんも俺が着ているジャージのラインが色違いの物を着ている。 大人の程よくついた筋肉に思わず、薄っぺらい自分の腹を撫でた。 「うわっ!!おろして!恥ずかしいから!!」 「そんな足をガクガクさせながら言われても説得力ないぞ?」 いきなりの浮遊感に、自分が抱き上げられたことを知るが流石に恥ずかしくて抵抗してみる。 しかし、政行さんは俺の抵抗に全く聞く耳を持たずそのままカードキーを持って歩き出してしまった。 朝食はブッフェ式で、会場が本館なので宿泊客はそちらに行かねばならない。 俺達が泊まっているのは独立した部屋なので本館までは少し距離がある。 それなのに抱上げられて会場まで運ばれてしまうと、それこそ他の宿泊客に見られてしまうではないか。 「一人で歩けるから!!」 「会場近くなったら降ろしてやるから」 俺は少し身動ぎするが、政行さんは何でもない様に歩いていく。 確かに政行さんの言うように足は震えているが、そんな歩けない程でもないと思う。 それでも少し嬉しく思っている俺も居て、少し複雑な気分だった。 「う…うそ!!」 「歩けるか?」 本館に入ってから朝食の会場の近くで降ろされたのはいいが俺は足に力が入らず、そこで座り込んでしまう。 それが信じられなくて、俺はパニックで焦り出す。 政行さんは特に驚きもせず腋の下に手を差し込んで俺を立たせると、腰に手を回して身体を支えてくれる。 俺はすぐに座り込んでしまいそうになるので、政行さんの身体に掴まる様にゆっくりと歩く。 「これと、これと…あぁ!これも美味しそう」 「食べ過ぎじゃないか?」 自力では歩くことができないので、政行さんに掴まりつつブッフェ会場で食べたいものを取っていく。 食べ物が乗っている台に身体を預け、更に取っていき皿の乗った盆は政行さんに持ってもらう。 俺が空いたテーブルに盆を置いてもらい、そこに座ると政行さんは飲物を取りに踵を返す。 ジャージの袖が邪魔になったからか少し袖を捲っている政行さんは文句なく格好いい。 ジャージの上からでも均等の取れた筋肉が分かる。 そんな政行さんはやはりαとしてのオーラがあるからか他の宿泊客が注目していた。 確かに食べ物を取っている時にチラチラと見られている気はしたが、気のせいではなかった様だ。 「何がいいか分からなかったから全部持ってきた」 「ははは。持ってきすぎじゃない?」 政行さんは小ぶりの盆へグラスを沢山乗せて席まで帰ってきた。 グラスを運んでいる姿もどこか様になっていたが口を開いた瞬間、いつもの政行さんで笑ってしまう。 盆の上には、烏龍茶や緑茶の他に牛乳やジュース類も沢山乗っている。 ジュース類も意識が高いフレッシュジュースや、良く分からないデトックスなんとかと言うのもあった。 「ほら。沢山食べて栄養つけろ」 「なんだよ。言われなくても食べるし、さっき食べ過ぎって言ってたくせに」 二人で手合わせ、いただきますと言った所で箸を取って料理を食べはじめる。 俺が味わって料理を食べている間に、政行さんは優雅にパンを千切って食べていた。 俺が次々に料理を食べていくのを珍しくにこにこしながら眺めている。 俺がその視線に気が付いて箸を止めると、沢山食べる様に言ってきたがそもそも料理を取っている時は食べ過ぎだと言っていたのは政行さんではなかっただろうか。 俺は腑に落ちないものの、料理に舌鼓を打った。 「はぁ。幸せ!お腹いっぱいだぁ」 「それだけ朝から食べればそうだろうな」 俺は満腹感に腹を擦り、椅子に深く身体を沈めた。 政行さんは食後の珈琲を飲んでいる。 政行さんの言うように、俺はあの後料理をもう1周したのだ。 ご飯の後にパンも食べたし、色々食べて流石に腹が苦しい。 自分でもこんなに食べられたのには驚いた。 「もう満足か?」 「流石にもう入らないな」 珈琲の最後の一口をぐいっと煽った政行さんが席を立ち上がって俺の椅子の横まで来た。 すっと手を出されたので、反射的にその手に掴まって立ち上がる。 少しダルさは残るものの少し歩けるようになってきた。 それでも政行さんは俺の腰に手を回して部屋まで戻るために歩き出す。 俺はこの時、回りからどう見られていたかと言うことを満腹感のせいですっかり失念していた。 「うわー!!政行さんが腰に手を回してたの他の人に見られてた!!」 「別にいいだろ」 「良くない!!俺と政行さん親子って事で部屋取ってあるんだろ??」 「自意識過剰だろ。それに、あの会場に昨日のスタッフは誰一人居なかったけど?」 部屋に戻って来てからはたと思い出して、身悶えていると政行さんに笑われてしまった。 しかも元々優秀な政行さんはスタッフの顔まで把握していたらしい。 しかし、昨日のスタッフが居なくても親子でこの密着具合は変に思われるのではないかと頭を抱えた。 そんな俺をよそに政行さんが着替えはじめ、その背中を見て俺は一気に頬が熱くなる。

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