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第15話
ふと気が付くと俺の手には赤ん坊が居た。
唐突な出来事のため、全く意味が分からず状況が飲み込めない。
どうしていいか分からずキョロキョロと辺りを見渡すが、誰も居なかった。
むしろ、誰も居ないどころか景色がない。
「あれ?」
周りを見渡した後に、もう一度手元を見ると手元には何もない。
それに驚いて顔を上げたら、今度は目の前に大きな水槽が現れた。
中には水がいっぱいはいっていて、茶色い物体が流れてくる。
ふわふわと漂ってきた茶色いものが近くに来たので、じっと見てみると水族館で見たラッコだった。
ラッコはつぶらな瞳でこちらを見返してきてすっとこちらに手を上げる。
思わず後ろを振り返るが何もあるわけがなかった。
「え?なに…」
もう一度水槽の方を振り返ると何もなくなっており、ドスンと腹が重くなった。
驚いて腹を見ると、腹が大きく膨らんでいる。
何が何だか分からず腹を押さえると、ポコンポコンと手に刺激があった。
戸惑っていると、背中に温もりがある事に気が付いた。
「まさ?」
「どうした?」
「おなかに…」
その温もりに声をかけたら、返事が返ってきた。
俺は腹の事を伝えようとしたら優しく腹を撫でてくれる。
それにほっと安心した息がもれた。
段々と意識がはっきりとしてきて目を開けると、現実の目の前には茶色のふわふわした毛が見える。
身体を捻ると政行さんに抱き締められていたようだ。
「どうしたんだ?」
「あかちゃんが…」
「ん?」
お腹をさすってみると、さっきまで大きく膨らんでいた筈の腹はすっかりペタンコになっている。
それが無性に悲しくて鼻の奥がツンッと痛む。
頬に涙が伝うのを政行さんが拭ってくれた。
手に持っていたぬいぐるみを取り上げられ身体を反転させられて向かい合う姿勢になる。
顎に手を添えられ上を向かせられたところでキスされた。
口の中に当然の様に舌が侵入してくる。
「んっ、んむぅ…んっ」
「赤ん坊がどうしたって?」
口を離されて、今度は目蓋に軽くバードキスされながら優しく問いかけられた。
俺は先程までの事を話すと政行さんは優しく背中を擦ってくれる。
そんな優しい手付きに遂に俺の目からは涙がこぼれ落ちてきた。
「嫌々言ってたのに、そんなに子供が欲しかったのか」
「おれ…お腹に…確かにあかちゃんが居たのに」
しゃくりあげる俺の背中を優しく撫でる政行さんの手は尻に降りてきて、割れ目をなぞる。
腹に入っていた玩具に手をかけて力を入れられた。
俺の体温であたたまった玩具が抜かれると腹に冷たい風が入ってきて縮み上がってしまう。
「先に玩具を産んでしまったな…これから本当に子供を孕ましてやるからな」
「本当に?」
「ずっと言ってるのに、今更やる気になったのか?」
「んーん」
孔に熱い物が押し当てられ、首を横に降った。
確かに政行さんはずっと俺の事を“妊娠させる”と言っていたのに、俺はそれを信じきれなかったのだ。
しかし、一瞬でも腹が膨らんで赤ちゃんを手に抱いてしまったら政行さんとの赤ちゃんが本当に欲しくなってしまった。
もう母さんの事を考えるのは止めた。
だって政行さんは母さんは俺の事を心配しているふりをしていると言っていたではないか。
政行さんが言うのだからそうなのだろう。
「んんんっ」
「腹の中に精液残しておいたのに、まだチンポおねだりか?」
政行さんのペニスがゆっくりと挿入される。
熱いペニスが肉を押し退けて侵入してきて、また身体がそれに反応をしはじめた。
昨日までと違うのは腹の奥が自分でも分かるほど
きゅうきゅうと政行さんのペニスを離すまいと絡み付いていることだ。
「乳首も反応してるな」
「ふふふ。政行さんが赤ちゃんみたい…」
政行さんが俺の乳首をぱくりと口に含む。
俺はつい政行さんの今は整えられていない頭を撫でる。
いつもは綺麗にセットされているのに、今は整髪剤も何もつけていないサラサラな手触りだった。
しかし、乳首を唇で挟まれちゅっと音を立てて吸われると下半身にじわりと痺れに似た快感が広がる。
最初は気のせいかと思ったが、政行さんの舌が俺の乳首をなぶると腹の中が痙攣をはじめた。
「赤ん坊はこんなにいやらしく乳首舐めないだろ。それにお前も乳首弱すぎるから、赤ん坊に吸われる度にイッてたら身体が持たないだろ。ミルクで育てるか?そしたらお前の乳首は俺のモノだしな」
「何言ってるん…俺はっβなんだぞ」
「は?普通のβは子宮おろして精液おねだりなんてしないんだよ」
「ひっ!」
「それに、お前ずっと勝手にイッてるだろ?」
接合部からぐちゅぐちゅと濡れた音がしている。
政行さんに揺さぶられているのに、胸の縄はまだほどいてもらっていなかったので縄の肌触りがドキドキと鼓動を更に速くさせる。
少し前までセックスなんて知らない身体だったのに、今ではすっかり政行さんに身体を躾られてしまった。
「ひっ、あっ、あぁ!」
腹の中で政行さんのペニスが震える。
どくんどくんと中に出されているのを感じて政行さんに抱きつく。
中に出されながらうっとりとしていると、縄をほどかれる。
寝ていた時間はどれくらい分からないが、身体にはくっきりと縄のアトが残ってしまっていた。
上から自分の身体を見下ろすと、間接照明ではよく見えないが見える範囲だけでも人には見せられない事になっている。
「また露天風呂でハメてやるよ」
「ん。うれし…」
抱き上げられてキスされる。
じゅぽっと音をたててペニスを抜かれて、露天風呂に一緒に向かう。
歩く度に空気を含んだ下品な音が下半身からして、太股の内側に大量の精液が垂れてくるがもう気にしない。
「この短期間にすっかり身体ができあがったな」
「そう?」
部屋に備え付けの露天風呂は檜の湯船になっていて少し高くなっている。
湯船のヘリに座り、片足をあげて政行さんに腰を突き出す様に言われて素直に従う。
身体に残る縄の跡を撫でながら俺の前にしゃがみこんだ政行さんがにこりと笑った。
首をかしげる俺の孔に政行さんは指を突き立て胎内をかき回し、指を動かされる度に声が出てしまう。
「あぐっ、あひっ、あっ…あ゛あ゛っ」
「一応外なんだから声押さえないと、流石に近くの部屋は他人だぞ?」
「だって…お゛っ…おとうさんがっ」
「本当にお前は…わざと煽るように“おとうさん”を使うよな」
胎内を掻き回すぶちゅんぶちゅんと粘着質な音が響く。
胎内から政行さんの精液が益々溢れだして湯船からこぼれ落ちるお湯と一緒に流れて排水溝に吸い込まれていくのを寂しく感じながら見送る。
胎内の精液を全て掻き出し終わったのか快楽に震える俺を引っ張り湯船に入った。
暖かいお湯に包まれてほっと息が漏れる。
政行さんは俺の肩に腕を回してまた乳首にイタズラをしてきた。
後ろから抱き締められながら首を後ろに反らさせられ、口をキスで塞がれて身体が勝手に気持ちよくなって大きく肩が揺れる。
「なんだよ。キスでも感じる身体になったのか?」
「ちが…」
「違わないだろ?」
一旦呼吸の為に口を離してもらったのに、またキスされて気持ちがいい。
目を閉じて懸命に政行さんの舌に俺の舌を絡ませる。
口を離されるとはっはっと犬みたいに短い呼吸を繰り返すと、手を取られて政行さんのペニスを握らされた。
お湯より熱いことに胸が高鳴ってしまう。
「チンポ握ってどうした?」
「これ…ほし」
「へぇ?」
俺はうっとりとそれをお湯の上から眺めて竿をにぎにぎと握る。
つい大胆な事を口走ったが、その時は気が付いていなかった。
ペニスから手を離させられたので、それを残念に思っていると政行さんが湯船の中で立ち上がる。
昨日から何度もしている筈なのに、完全に勃起したペニスが目の前に突きつけられれば俺はごくりと喉がなってしまう。
「欲しいんだろ?舐めてもいいんだぞ?」
濡れた手で俺の頭を撫でて政行さんがにやりと笑う。
俺はペニスに釘付けで政行さんの表情にまで気が回らず再びごくんと喉が大きく鳴ってしまった。
おそるおそる括れの所に舌をのばすと少し腰を突きだされ鼻先にぺちんとペニスが当たる。
無意識に舌をだらりと垂らして政行さんのペニスの臭いを嗅いでしまう。
政行さんのペニスに頬擦りをし、根元の部分に鼻を埋めて大きく息を吸い込む。
お湯で濡れてしまってはいるが、政行さんの濃い雄の臭いに脳の芯まで蕩けるような快楽が腹から沸き上がってきた。
眩暈がするほどのいい臭いに躊躇なくペニスを口に含む。
「んっ、んふぅ、んむっ」
口に含んだペニスの括れに咥内で舌を這わせぐるりと舌先で舐めてから、深く喉の奥まで招き入れるつ。
口をすぼめて頭を上下させてると口から空気を含んだ下品な音がするが、俺は気にせず夢中で舐める。
政行さんの手が後頭部に当てられたのも気がつかないほど夢中で舐めていたので頭を押さえられて無理矢理抜き差しされても身体が反応してしまう。
喉の際奥まで挿入されて嘔吐反射で身体が震えたが、当然政行さんには関係がなく喉の奥に熱いものがぶちまけられる。
「おげっ…んっ!」
「おー。こらこら…吐くなよ?上でも下でもたっぷりしゃぶらせてやるって約束だろ?」
政行さんに口を押さえられているので、吐き出すこともできずに俺は吐き気を我慢してごくんと精液を飲み込む。
咥内が空になり、口を押さえている手をペロペロと舐める。
俺をお湯の中から引き上げて風呂場でも何回もしてからベッドに戻ると政行さんが耳元でまだするかと聞いてきたが、荒い息を整えながら俺は慌てて首を横にふった。
疲れた俺に政行さんは頑張ったなと誉めてくれたのが嬉しかったが、もとはと言えば政行さんのせいで疲れているのではないかと掠れる声で反論する。
反論する俺を政行さんは笑うが、そんな時間も幸せで俺は政行さんに抱きついた。
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