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第4話
風呂上り、バスローブを使えばいいのに、君は落ち着かないからと腰にバスタオルを巻くだけに留める。
その方がいつ落ちるかと心配で落ち着かないのは、僕だけなのかな。
僕はふかふかのバスローブを身にまとう。
部屋の冷蔵庫から水を出して二つのコップに注ぎ、ソファに身を収める。
ホッと一息つく僕を見て髪にキスを一つ落とすと、君は興味津々といった様子で、部屋の中を探検しはじめる。
「ラジオ、つけていい?」
「ああ……そうだね、君が心もとないなら、つけてもいいよ」
「じゃ、つける」
君は音がしないと落ち着かないんだという。
どちらかの家にいる時は、テレビがつけられていることが多い。
以前ラブホテルを使った時に何となくテレビを点けたら、男女の絡みが大画面に映し出されて居た堪れない思いをした。
あざといまでにあげられる声と乱暴な言葉。
お互いの気持ちがあって、柔らかなまろみを帯びた身体を持った女の子が自分の下で嬌声を上げているのは好ましいかもしれない。
けれど。
男の支配欲を刺激しようとしたつくりの映像にうんざりした。
それから、自分があの立場で、君の体に組み敷かれて野太い声であられもない声を上げていたのかと思うと、やるせなくなった。
それ以来、何となく外ではラジオをつけるようにしている。
早口で意味の分からない横文字を使うパーソナリティの番組や、騒音かと間違えるような音楽が流れる番組にあたったとしても、居た堪れない思いはせずに済むのだから。
君はチューナーを操作して、番組を選ぶ。
言葉が聞き取れるかどうかの音量でかけられるラジオ。
こんな小さい音でもいいから、音がしていないと心もとないなんて、心配になるほどに寂しがりだね、君は。
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