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第3話
アザミの白い肌に、赤い荒縄が食い込んでいる。
後ろ手に縛りあげた細い肢体の、両の胸を上下から挟み込むような形で縄が打たれた。
アザミの体は肉付きが薄かったが、抱かれる立場だからだろうか、胸の辺りは僅かにふっくらとしており、それが縄によって強調され、卑猥だった。
彼の乳首は、たくさんの男に嬲られてきただろうに、くすみはなく、むしろ淫靡に赤く色づいている。ザクロの粒のようだな、と西園寺は思った。
その粒は、縛られただけで硬くしこっており、ツンと勃ちあがっている。
縄は上半身だけでなく、下半身にも及び、足の付け根から無毛の性器の周囲にかけて絡みついていた。
会陰部と、後孔のところには結び目を作っており、肌の上を這うように張られた縄が、常にそこを押し続けている状態となっている。
はぁ……とアザミの唇から熱い吐息が漏れた。
彼の足は閉じられない。膝を折り曲げた姿勢で、太ももからひざ下へと縄を巻いているからだ。
会陰部の結び目をぐりぐりと戯れに動かすと、アザミがビクっと震えた。
さすがに、よく開発された体だ。
けれど縛られることに慣れていないのか、アザミのその切れ長の瞳の奥に、少しの怯えを見つけて、西園寺は嗜虐心を煽られた。
「アザミ。乳首だけでイけたら、ご褒美に挿入してあげよう」
「西園寺様……」
「できるだろう?」
「アザミは……乳首でイったことが、ありません……」
先ほどは自ら西園寺の牡に跨って腰を振っていたというのに、そのアザミがいま、縛られて気弱な風情を見せている。その様に西園寺の劣情が刺激された。
「可愛いことを言う……」
く、と唇の端で笑って、西園寺は箪笥の引き出しにあった文箱 から、筆を取り出した。
毛先のやわらかなその筆で、まずはアザミの性器の先端をほじる。
くりくりと尿道孔をくすぐると、先走りの液体が筆を濡らした。
西園寺は淫液をたっぷりと筆先に沁み込ませ、それを胸の赤い粒へと近付けた。
アザミの胸を縊 り出している縄を、指に引っ掛けてパチンと弾く。
「あぅっ」
アザミが叫んだ。
「痛いか?」
西園寺の問いかけに、アザミがこくこくと頷く。
「だがきみのここは、悦んでいる」
筆を肌の上に乗せて。
アザミの乳輪の周りで円を描く。ビクっ、ビクっとアザミの足が揺れた。
縛られたまま横たわっているので、尻の丸みも開かれ、結び目が半分埋まっている秘部も丸見えであった。
ひくり、ひくりと後孔が蠢いている。
「さぁ、俺に、きみの可愛いところを見せてくれ」
西園寺は、ザクロ色の乳首を筆で責めた。
「ああっ、あっ、あっ」
アザミが腹部をくねらせて悶える。
だらだらと溢れてくる淫液を、筆にすくって、西園寺はそれで左右の乳首を濡らした。
「さ、さいおんじ、さまっ」
「どうした」
「む、無理、ですっ、あっ、ち、乳首だけではっ、あ、あぅっ」
パチン、と西園寺は再び胸の縄を弾いた。
今度は、上から挟んでいる縄をアザミの乳首の下に来るまで強引に引っ張り、そのまま指を離す。
「ああんっ! あっ、あっ」
縄に擦られた右の乳首が、その色味を増した。
西園寺は筆で左の乳首を弄りながら、己の左手を巧みに動かし、縄を使って右の乳首を責めた。
「あっ、い、痛いっ、痛いっ」
アザミが首を振ってすすり泣きを漏らした。
彼の、艶やかに長い髪が、シーツの上をのたうった。
痛い、と彼は口にしたが、西園寺からはそうは見えない。
アザミの陰茎は硬さを保ったままであったし、その先端からはだらだらと先走りの液体が溢れていたからだ。
「痛いのに、ここをこんなに腫らしているのか」
意地悪くそう囁きながら、ペニスの雫を筆で拭って、西園寺はアザミの乳首を左右の手で弄った。
縄でこすられた粒は筆でやわやわと責められている方よりも硬くなっており、西園寺は熟れ切ったような色を見せるそれを今度は指の腹でくりくりと撫でた。
「ああっ、んっ、んんっ」
胸を突き出すようにして喘ぐアザミの白い肌は、快楽ゆえに徐々に薄桃色に染まってゆく。
「あっ、だ、だめですっ、あっ、あっ、ち、乳首っ、乳首がっ」
「乳首が、なんだ?」
やわすぎる愛撫がたまらないのか、アザミの目尻から涙が零れた。
腹部を艶めかしくくねらせ始めたアザミを見て、西園寺は筆を捨て、両の乳首をつねりあげた。
「ああっ!」
嬌声が零れ、アザミの腹部にちからが込められる。
内腿が、細かな震えを見せた。
西園寺は引っ張った乳首をコリコリと紙縒りを作るように指先を動かし、強弱をつけて押しつぶすようにした。
「ひっ、あっ、あっ、イ、イくっ」
アザミが髪を乱しながら首を振った。
「ち、乳首でっ、乳首で、イきますっ、あっ、あっ、あっ、ああああっ」
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