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放課後デート-2
「あっ!」
突然舞が、大きな声をあげた。
明るく、弾む声。校門を抜け駅前通りまでずっと喋っていた声よりも高い。
その声に、僕はハッと我に返る。
「可愛いー!……ね、ここ入ってみようよ。さくらくん」
「……え」
見ればそこは、可愛らしい雑貨店だった。『Alice』という店名通り、不思議の国のアリスをモチーフにした装飾の数々。
「………」
舞と一緒だったとしても、男の僕が入るには勇気がいる。ガラス壁から店内を覗けば、案の定客層は女性ばかりだった。
「……行こっ!」
躊躇する僕の左手を、舞の手が掴む。そして僕の答えも聞かず、店内へと僕を引っ張り込んだ。
観葉植物、女性ものの小物や生活雑貨………そしてキッチン雑貨にバス用品……
「……ま、舞」
「ね、あっち見てみようよ!」
瞳をキラキラと輝かせた舞は、服やアクセサリーのある方へと向かっていった。
「これ可愛い!……ねっ?」
「……えっ、う、うん」
キラキラと照明に当たって輝く指輪……
リング中央にある、宝石に模した安っぽいプラスチックストーンまでもがキラリと輝く。
その中のひとつを手に取った舞は、自身の細い指にそれを通す。
……いいな
あんな風に、僕も………
「あっ、これ、さくらくんに似合いそう」
「……え」
突然、舞が僕の左手を掴み上げる。そして選んだ指輪を手に取り、それを僕の薬指に……
「や、やだ……」
「何で?大丈夫だよ。これ、大きいからさくらくんの指にも入るよ」
……そういう問題じゃ、なくて……
何で舞、僕に指輪なんか……
僕の手に添えられた舞の指。
そこにある指輪が、キラリと光る。
その細くて可愛らしい指とは対照的に……太くて、男っぽい……僕の指……
「ほら、やっぱり似合う!」
「………」
なん、で……
「……さくらくんて、男にしとくの勿体ないくらい、可愛いよね」
左の薬指に嵌められた指輪……
少し太めの幅。ピンク色の小さなプラスチックストーンがひとつ。
「これ、買ってあげようか?」
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