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好き-2

翌日の土曜日……約束の時間。 僕は気になって、待ち合わせ場所である駅前まで来ていた。 ……なのに、僕は物陰から 二人を覗き見る事しか出来なかった…… 本当…… ……何してるんだろう……僕…… 「……遅いね、さくらくん……」 「もうほっといて行こうぜ、舞」 改札口の前、二人は並んで立っていた。 同じ背丈の二人。何だかそれすらお似合いだった。 僕を心配したように、じっと待つ舞。それとは対照的に、急いたような態度のナツオ。苛立っているのか、時折してみせる貧乏揺すり。 「………」 僕に協力すると言った、舞。 僕に協力しろと言った、ナツオ。 相反する二人に挟まれた ……中途半端な、僕…… ……僕は、どうしたいんだろう…… 「絶対イヤ。……私、連絡してみる」 「……来ねぇよ」 ふて腐れたナツオの声。それを無視し、舞は鞄からスマホを取り出した。 「……!」 それに気付いた僕は、慌ててスマホの電源を切った。 「……だめだ。通じない」 何度もスマホを操作し、耳に当てる。 そんな舞を、ナツオはそわそわした様子でチラリと見た。 「………」 少しだけ緊張した顔。舞の方へと向き、腕組みした手を解く。その腕が垂れ下がると、少し揺れ、舞の方へと伸ばされる。 その手。……その指が、バックを持つ舞の手を前に、躊躇していた。 「じゃあ、帰ろっか……」 「……はぁ?」 スマホ画面を見ながら、溜め息混じりに舞が呟く。その言葉に、ナツオがすかさず噛み付いた。 「帰んなよ。折角だから行こうぜ」 躊躇した指が、狙っていた獲物を捕らえる。それにビクッと反応し、舞がナツオに視線を合わせる。 「……だって、さくらくんが……」 「オレが!」 その言葉を遮り、ナツオが舞に真剣な目を向けた。 「オレが来るなっつったんだよ!」 その瞬間…… 二人に流れる空気が変わる。 それは、遠くでただ眺めるだけしかできなかった、僕にも伝わる。 ……待って…… 「……っ!」 二人が歩き出す。 指を絡めた手…… 駅構外へと消えていく背中…… 「………」 僕は、どうして男なんだろう…… ……どうして…… 左手をじっと見る。 ……女の子だったら、よかったのに……

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