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第12話

遥か昔の事。ここ夢世界は闇に包まれていたことがある 煌々と光る大きな満月の夜だったはずが一瞬として闇と化した… 魔族の王が降り立ったのだ。 「これよりここを私たちの領土とす」 地鳴りと共に低い声が響き渡った。 為す術なく夢族の者たちは捕らえられた。そして奴隷と化したのだ。 抗うことも出来ずただ生かされる 人を人と思わない俗物たちが溢れかえる… その時まだ幼かった者たちを最後の夢世界の能力を使い人間界へと送り出した。 子供たちは人間と比べると能力は高い。人間界にうまく順応して人間として生き始めた。 そして子孫を増やしていった。夢世界を救うタイミングを計りながら。 そんなとき一人の赤子が生まれた。 誰よりも美しく聡明な者。生まれ出でた瞬間からまだ幼い子供でもわかるほどの力を持っていた。彼が生まれたその日は新月だった。 彼はすくすくとたくましく成長した。そして彼は己の運命を知らぬまま夢世界に拐われていった。 「ここは…」 到着した瞬間彼は己の運命を悟る。そして身一つで魔王の元へ向かった 魔族たちは彼に近づくことも出来ない。近付けば焼け死んでしまうからだ 「お前が魔王か?」

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