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第13話

「来たか…」 「…」 「…会いたかった…」 「…私もです…」 「すまなかった…お前の故郷を…」 「こればかりはどうすることもできないでしょ?魔力が増幅しすぎましたね…後は私にお任せください…」 彼は魔王へ手を伸ばし頬を包んだ。 私の中にお入りなさい。 呟いた時強い閃光が走る刹那。魔王は麗しい姿に変貌を遂げた… 「よく頑張りましたね…辛かったでしょう…」 「…でも…貴方が…」 「そうですね…でも…いいのです…きっとその頃にはまた新たな者が現れますから…」 「これは…もう逃れられない運命なのでしょうか?」 「…どうでしょう…またお互い想い合うものが現れると違うのかもしれませんね…私たちは愛し合えなかった…」 「申し訳ございません…」 「貴方は愛する者の元へお戻りなさい…待っていますよ?天界にてあなたの帰りを…」 「はい…」 魔王だったはずの彼は白のローブに身を包み背中に美しい純白の羽を背負い飛び立っていった。 そう。この魔王は元は天界の大天使だったのだ… これは古より繰り返されていて…数千年に一度の周期でかなり力の強い魔王が生まれ来る。それを天使もしくは夢世界の住人でも力のあるものが封印する…魔王を封印した者は次の魔王となる。己の意思とは関係なく回りを汚し苦しめてしまう…時が経つとともに体の中の負の魔力が増幅し己の道がわからなくなるのだ。そのときが新たな魔王誕生の時。 これは天使の呪い… かつて…愛した魔王に裏切られた天使が存在していた…その天使の憎悪が産み出した悲劇… 種族を越え愛し合った二人は子を成した。そしてそれはそれは睦まじく暮らしていた。 そんな穏やかな日々を送っていたある日の事…突如として魔王が天使の前から姿を消し別の魔族の者を娶りそちらとの生活を始めた。 魔王はもう二度と天使の元へは戻らなかった… 魔王を愛してやまなかった天使は大いに怒り悲しみ恨んだ… 恨みに恨んだ天使は魔族より悪しきものとなり魔王に呪いをかけた。 天使と愛し合わねば世界が闇に包まれるという呪い。闇に包まれれば魔族でさえ苦しみ藻掻き壊れていく… この呪いを解く方法は一つだけ…魔王が天使と恋に落ち命つきるまで愛し合うということ。 種族を越えて愛し合うというのはそう容易くはいかない。 根本の考え方が全く異なるからだ。 その因果で魔王であるものとそれを封じるものという存在が生まれその二人がお互い引かれ合い愛し合わなければこの呪いは終わらない。 裏を返せば互いが愛し合えるのならばこの忌々しい呪いが終わりを迎えるということ。

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