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第20話

今マンションのエントランスで立ちすくんでいる。 音夢はここにいる… 夢叶くんから聞いた部屋番号を押し相手を待つ 「…はい…」 「音夢…俺…麻桜」 「麻桜?…」 「開けて…」 「うん」 部屋について久しぶりにみる音夢は俺の知るあの頃の音夢よりも随分と痩せ細った気がする。 音夢は幼い頃からスポーツを多くしてきたので筋肉質で男らしい姿をしていたのだがその面影はない ただ相変わらず整った顔をしている…希叶と同じ顔…同じ姿… 「麻桜…」 「久しぶり…」 「助けて…」 「うん…」 小さくなってしまった体をそっと抱き締めた。 音夢と希叶は元は一つだ…あの新月の夜より更に遡ったある夜のこと一つだった魂が二つに分かれたのだ。魔王へと変化を遂げるときを迎えたから。 魔王になりたくないという強い思いが一つの魂を二つに分けた。結果人間界では音夢として夢世界では希叶として別々の人として存在することになった。 「音夢…遅くなってごめん…」 「麻桜…」 本体は希叶の方ではない…音夢の方なのだ…だから…希叶はきっと…

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