25 / 42

第25話

夢叶side 一体何が起こっている…希叶さんが霧散したことを報告しに一旦夢世界に戻ってきた俺は目の前の光景に絶句していた 空が…暗い…どうして?… 「夢叶!!」 「長!何が起こっているのです?」 「音夢が暴走し覚醒してしまった」 「何で…側に麻桜くんがいたはずなのに…」 「やはり覚醒する前に止めることは不可能だったのだろう」 「麻桜くんは?」 「泉の方に」 「行ってくる」 「…あぁ…」 長に言われた泉は聖なる泉といわれどんなに暗黒に沈んでいようとそこだけは変わらなかった。 その泉に膝まで浸かりほんの少しだけ差し込む月の光を浴びている麻桜くんは息を飲むほど美しかった 「…」 何も言えずに佇んでいるとゆっくりと麻桜くんが振り返る。 「…夢叶…」 「まおくん…」 「希叶は…逝ったのか…」 「はい…」 「そうか…夢叶…音夢は記憶がまだ戻っていなかった…もしかすると…俺への思い封じられたかもしれない」 「そんなこと…」 「あいつのアザの脇に黒いバラの刻印がされていた…古い文献で調べたのだが…あれは…悪魔と契約したもの…」 「どういうこと?」 「わからない…あいつと離れている時間が長すぎて…何が起こっていたのか…わからないんだ…こんなにも胸が苦しいのに…こんなにも愛しいのに…」 「麻桜くん…」 「音夢が消えるとき…希叶の気配を感じた」 「…それはそうでしょうね…だって…霧散したということはそういうことですから」 「そ…夢叶…俺二人を迎えに行ってくるね」 「はい…」

ともだちにシェアしよう!