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第31話
音夢side
「俺…何してた…」
翌日とても体が重くて動けないでいた
「おはよう。音夢」
「…お前は…昨日の…夢じゃなかったのか…」
「契約終えてるから。麻桜が君のものになったとき私は音夢の命をもらいに来る」
「それってどういう…」
「一旦契約したものはお前が死ぬまで有効。」
そういいながら俺の手をとり甲に口付けた。
冷たい唇が離れたその後に薔薇の花に良く似た痣が昔からあった黒種草みたいな痣に寄り添うように咲き誇っていた
「まさかお前が俺を呼ぶとはね…」
「何言って…」
「今度こそこの世界のすべて滅びるかもしれないな」
そう言うと高笑いをして消えていった。
その後強烈な頭痛が襲い再度意識を手放した。
そのとき見た夢で俺と同じ顔をした男にあった。
「やぁ。こんにちは。音夢…」
「お前誰だ?」
「わかってるでしょ?麻桜のこと相変わらず愛してるんだね?」
「当たり前だろ。でも…この気持ちは伝えられないから。だけど…それでも側にいたいんだ…」
「ふむふむ…だったらこんなのに呪いなんてかけなくても目の前に出てくればいい」
「だめだ…」
「君の贈り物たちのお陰で麻桜くんは毎晩重夢に悩まされてるよ」
「そんな…俺…そんなつもりなかったのに…呪いなんてかけてないのに」
「君の強い思いが自動的に呪いをかけたのかもしれないね。君は元々力の強い子だから。でもね。このままでは麻桜が壊れてしまうよ。夢世界に閉じ込められてずっと目を覚まさなくなるかもしれない」
「そんな…」
「だから…解放してあげて?」
「やり方がわからない」
「ん?あぁ。そうなんだねぇ。」
「俺はどうすればいい?消えてなくなればいい?」
「それはダメ。君がいなくなったら俺も困る」
「どういうこと?」
「俺はお前だから」
「そっか…やっぱりそっか…」
「ねぇ。音夢…麻桜のこと愛してるでしょ?だったら向き合って」
「今さら…できないよ…」
「でもね、こんなんじゃいつまでたっても麻桜くんは君に気づいてくれないよ?君は気づいてほしいんだよ。麻桜くんに…」
「そんなこと…」
「無意識って怖いよ。それが一番の呪いをかける強い思いなんだ」
「俺は…麻桜に幸せになってほしいだけなのに…どうしたらいいんだろう?」
「だから早く会いに来て。そして想いを告げて」
「そんなの…怖いよ…」
「ん?まぁそうだろうけどね。でもそれが唯一麻桜を解放してあげられる方法なのかもしれないだから…お願い…君が壊れてしまう前に…」
「…わかるの?俺がおかしいこと」
「わかるよ。だって俺はお前だから…」
「俺が壊れたらお前はどうなるの?」
「わからない…でも…どっちにしても俺か君が消える」
「そうか…解放できるのかわからないけれど…麻桜に会いに行く。」
「うん。わかった。んなら解放して?さぁ。目を閉じて…解放することを願って…」
その後まばゆい光に包まれて俺は目覚めた。不思議な夢だった…でも現実味がある…怖い夢だった…
俺はどっちにしても麻桜に会えば消えるのかもしれない…
そんなおぼろげな不安が薔薇の痣を濃くしたことを俺は見落とさなかった。
「俺が不安になれば…俺が俺でいられる時間が減る」
何となくそんな気がした。そして俺はおそらく普通の人ではないのだ…という見えない恐怖に包まれた
「…麻桜に会いに行かなきゃ…」
でもなかなか体は言うことを聞いてくれなかった。外に出ようとすれば手の甲が尋常じゃないほど痛む…
「会いに行けない…」
すでに俺はもう人でないのかもしれない…
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