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(2)名は人を表す

801号室もとい108号室のプレートはがっつりネジで固定されていた。 うーんいい歳した悪戯小僧でもいるのか。ひっくり返した後固定とはなんとまあ幼稚な。 呆れながら扉をあけようとすると ドタタッ 玄関の方で物が落ちたような音がした。それもかなり大きな音で! 何事かと小走りで廊下を走ると玄関マットの上に人がうつ伏せで倒れていた。 「ちょ、ちょっとあんた大丈夫か?!」 慌ててその人物を抱え上げる。 多分音の主はこの人だろう。 苦悶の表情を浮かべ額には玉のような汗が浮かんでいる。 もしかして、何かしらの持病を持ってるのか?!焦りながらも携帯を取り出し救急車を呼ぼうと文字盤を画面に出す。 救急車は110だったな!1、1、… タプタプと文字盤を押しているとその手を倒れていた人物が掴んで入力を遮った。 「あ…ぁ…」 「ど、どうした?!」 はくはくと口を動かすが言葉にはなっていない。それでもその人物を見て何をいうか俺はまった。救急車を呼ぶのを止めたんだ、何かあるんだろう。 「ぁ…う…つ、つ…」 「つ…?」 「つ…さっ…で…」 「え?」 「つか…れただけ…です…さか、坂で…はい…」 「…」 ああ、あの…手前にあった急坂ね。 うーん人騒がせ!! 「ぷっはー」 坂に体力吸い取られた人物を部屋に運んでやって、椅子に座らせて、水道水をためたコップを差し出して、やっと落ち着いて今。 「いやぁ、はは、助かりました」 ばつが悪そうに視線を泳がせながらコップをおいたこの人物は茂竿と言う名前だといった。。 107号室の住人、俺の向かいの部屋に住む人物だった。 ボサボサの癖っ毛を揺らしている。 まだ呼吸が整っていないらしい。 「いつもはなんとか登りきるんですけど、今日は体育の実技があって…」 この茂竿と言う人は相当体力がないのだろう。身体もひょろひょろだった。 丸メガネのポジションをもどしながらしどろもどろに答える目の前の人物はなんというか、全体的にもっさい。 名前の通りベストオブモサ男だ。

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