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(4)見た目はあてにならない
「ウンコではありません右近ですよ騒音機」
「てめーのインテリ眼鏡は飾りか?伊達か?ファッションか?記憶容量1ビットか?!俺は、左右田、ッだ!!」
玄関の方を除くといかにも勉強できますといった風貌の男と、いかにも鉄パイプが親友ですといった男が言い争いをしていた。
「それで、なんでしたっけ?言いたいことが云々とか。あなたの口から出る言葉は騒音と相違ないのでまっっっっっったく、伝わってこないんですよ」
「てめぇのその人を小馬鹿にした態度がいっちいち感に触ンだよ…」
「大馬鹿野郎が何をいってるのやら」
「なぁ頼む、金払うから、ほんっと、その顔殴らせろ」
今も玄関でギャイギャイと言い争ってるやつらもこの下宿に住んでる、よなぁ。そりゃなぁ。
「な、なぁ、茂竿君。あの2人は…」
後ろに居るであろう茂竿に話しかけ振り向くと、当の本人は何やらせわしなくペンをメモ帳に走らせていた。
「なにしてるんです」
「はっ、あ、いや、ハハハハ、え、えっとはい!あの、声がでかい赤髪が102の左右田さんで横の角眼鏡が101の右近ですっ」
「お隣さんかーい」
慌てて隠されたメモ帳がすごい気になるがそれ以上にあの明らかに犬猿な2人が隣同士に住んで居るなんて。
「引っ越すべきじゃない?」
「ですよねぇ。もう一緒に住めって感じですよねぇ」
「え?」
「あ」
住んだらだめだろう。明らかに混ぜるな危険でしょう。
なんか箇所箇所でこいつと噛み合わないな。
「あっ」
「あ?」
どうした急に目を見開い…あっ。
視線を2人の方に戻すと、まさに左右田が額に青筋を浮かべ腕を振り上げてるところだった。
おいおいおい暴力沙汰か?!
ドンキでたむろしてそうなやつの拳なんて洒落にならん!!
止めないと、角眼鏡が割れるだけじゃすまないぞ!
「ちょっとあんたら!!」
なんとか止めるために声をかけた。
が、俺の行動は必要なかった。
なぜなら、
「イダダダッダダッダだだぁああ!」
「口で勝てないから手を出すとは。幼稚園児以下ですよもう卵子から人生やり直しなさい」
気づいたら角眼鏡が不良を抑え込んでいたのだ。
「お前の方が強いんかーい」
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