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(8)掃除はこまめに

玄関にいた3人も部屋に戻るよう促し、(金髪パリピには面接用笑顔でぼんやりのりきった) 自室に戻った俺は、この部屋に元からあったソファへ重力に任せて倒れ込んだ。 疲れた…。 住人のキャラクター性が濃い…。 楽に人らしい生活をおくれて趣味の時間を確保できる好条件職と思っていたのに。隣人間トラブル、騒音被害、そのたエトセトラな着火前爆弾だらけの悪条件下宿だった。 げっそりした。 多分体重5kgは落ちた。 ぐったりと荷ほどきを終えていないダンボール山を眺めている。 あー…。 あー………。 アマゾンのマークじっと見てたらちょっとブレて見えるー…。 あー…………………。 あっ。 そういえば。 よっこらせと身体を起こし、ある棚に向かって進んだ。 その棚はいろんな書類やらなんやらがつまれている棚だ。 その中の、今にも乗せられた書類の重さで潰れてしまいそうな5段のクリアケースの前に立つ。 上から、『金銭云々』『保険云々』『ご近所云々』…云々おおいな。 お、あったあった。 一番下の段、『住人云々』と書かれたケースを引き抜っ…!! …。 ケースっ、をっ、引き抜っっ…!!! んぬぅううううう!! 「積み書類が重くて開かねえ!!」 くそジジイ整理しろ! 怒りに任せバシンとケースを平手で叩いた。 バサドサバっササササ!! 「あ」 しもたー。 雪崩れたー。 雪崩れた大量の書類を見なかったことにした。 軽くなったクリアケースは簡単に引き抜くことができた。 わーふっしぎーどうしてきゅうにかるくなったのかなー? ソファに戻りケースの中身を確認した。『住人云々』にはこの下宿を借りて居る人の詳細プロフィールなどが入っている。 この下宿、矢追荘は低家賃高サービスを掲げている代わりに、住人は身元や現職や学生なら学科やコースまではっきりさせて、その情報を提出してもらう。それがこの下宿の入居最低条件だ。 過去にその関係で大きなトラブルがあったので導入したルールらしい。 余談だが、爺さんは面白がって探偵を雇い調べたのでこの情報に間違いは無い!! と、正月など一家が揃うイベントでベロベロに酔ったら毎回この話をするので俺は知っていた。 うちの家系はみんな絡み酒だ。 余談終わり。 書類に視線を戻すと一番上にスチールウール、違った黒い癖っ毛眼鏡の写真と数枚クリップされた資料があった。 もさお。107の向かい部屋の住人。 驚くほど微体力のもっさり男。今日は色々と教えてもらったりしたが、ところどころで話が噛み合わなかったり、よくメモをとっている男だったな。 へー、私立の美大でコミックコースか。 20歳ということは俺の6つ下。もう少し上かと思ってた。 俺も美大を出たから親近感がわくな。違う学校だけど。 へー、ほぉー、ふーん…。 ふーん。 今度その関係で話しかけてみようかな。

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