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(12.)後輩に見えてきた
「長髪の…色、いろっぽい…ジャニ顔。あぁ、鱈師さんっすね!…ハァハァ…」
「タラシ。二階の?」
「はい、あの、あの…休憩しません?」
「またぁ?」
全裸エンカウントをした日の午後。
俺は大学の講義が休みになって暇していた茂竿を見かけたので、ホームセンターでの買い出しを手伝ってもらっていた。主に荷物持ちで。微体力だったことを忘れていたので荷物持ちが大きな荷物と化してるが。人選間違えたな。
「鱈師さんは下宿で最年長で誰よりも長く住んでるんですよお」
木陰にあるボロいベンチに座ると続きを話し始めた。
今日は天気がいいので影がくっきりと出ている。
「てゆうか大矢さん、なんすかこの量…掃除用具多い…しんどい」
「爺さんの矢追荘の掃除が角は丸くはく方針だったからなぁ。いっぺん大掃除しないと。ほら、さっきホムセンで飲み物買ったから飲め」
「あ、ありがとうござまあす」
茂竿の膝にあるレジ袋の中をガサガサとあさり、水っぽいボトルを掴んで引き抜く。天気よし気温も高しで結露が絶好調だ。
水滴を払ってヘロヘロになっている男に渡す。
いってもそんなに重くもないし歩いてないぞ。俺は汗もでてない。
こいつが美味そうに飲んでいる間、買ったものを手持ち無沙汰なもので確認を始める。雑巾お徳用、コロコロ、掃除機フィルター、箒、バケツ、地域指定ゴミ袋、カビ取り洗剤………
「しまった」
「はへ?」
「排水溝詰まりの溶剤忘れた」
「はいすいこう…っていうと風呂場のですか。使用禁止の張り紙貼ってありましたけど」
「ああ…」
夜は結局は入れなかったから、朝一に風呂に入ろうとした。が、風呂場の床にぬるい水がたまっていたのだ。
排水溝が詰まっていることは明らかだったからついでに買ってきたかったのだが。しまったな、たいしてホームセンターまで距離はないけどめんどくさい。うーん。
「戻るぞ。風呂入れないからな、このままだと」
「えええええええ」
「はい休憩おわり!たてたて」
「んぇええええええ」
嫌そうな顔をする茂竿の首根っこを掴んで立ち上がらせる。ここまできたらとことん付き合ってもらおう。
というか、こいつの反応が面白いのでいじりがいがあって、楽しい。
「大矢さんの俺への扱いが急に雑になってるう」
「あー?気のせい気のせい。シャキシャキあるけ」
「ひぃい」
「ほら昼飯奢ってやっから頑張れ頑張れ」
「わあい、おれ飯おごってもらうの初めて」
「ところで大矢さん、あの、昨日最後に風呂入ったの鱈師さんであってます?」
「そうだけどなんでだ」
「あー、あ、あーほら、鱈師さん髪長いし癖っ毛だから、詰まりに王手かけちゃったかなーって、ははは」
「お前ほどじゃないだろ」
「あああああ頭揺らさないでやっぱ扱い雑になってるう」
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