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[1]ぱりぴのはりい

「にゃぁんで俺ちゃんの部屋に知らん人おんのぉ〜?まじムリポ何すけど」 「さてはお前相当酔ってんな」 ある日の夜、俺は自室でキャンバスや絵の具を広げ新しい自分の作品を書いていた。これでも美大卒だし、なんなら夢はプロの作家だ。 で、だ。 用具を広げてさぁ色を作ろうとしたら扉の方からカチャカチャ聞きなれない音がしたんだ。 変だと思って見に行けばちょうど鍵を閉めていたはずの扉が開いた、で。 ちょっと距離があってもわかるくらい酒臭い208の住人、針井が真っ赤な顔で立っていた。 もう一度言うが部屋の鍵は閉まっていた。そして自動でもなんでもないアナログの鍵しかついてない。 それがなんで開いた上にお前がいるんだ針井。 「ンニャッ、クサっ!!なんでこんな臭いんお?!てめー俺ちゃんの部屋でなにやってんらろぉ?!」 「臭いのはお前だしこれは油絵の具で、さらにお前の部屋は2階だっての」 「ニャハハハハハハハハうけねーぽ」 「どっちだよ」 混乱した頭にドカドカと情報放り込むな処理が追いつかないだろ。 あと、バシンバシン肩を叩かないでほしい。 痛い、イタ…いやほんと痛いというかなんか刺さってる! 「やめろ、なんで針金何本も持って… あっ、お前ピッキングしやがったな!」 「俺ちゃんの部屋どうしよーがー かってショ〜?」 「賃貸!あとお前の部屋2階!!相当酔ってんな?」 「ンハハハハッッハハハ、うす、だいぶ酔いますた」 そこは素直なんかい。 しかしこの針井、ピッキングなんてできたのか。確かに電子ロックや自動ロックなんて洒落たものつける金は無いが、そこは住人同士の良心で補ってると思ってたのに。とりあえず今持ってる針金は没収、コラ抵抗するな。 「床で寝るな!」 「にゃむい」 「眠く無い!」 本当にこいつ成人してんのか?! 「部屋まで連れってやるから鍵だせ」 居座れるより何倍もマシだ。 「俺ちゃんの部屋ここらのにどこに連れて行く気らー」 「ここは俺の、部屋!108!」 らちがあかん。 ケタケタ笑っているベロ酔いの針井には何言っても通じない。 仕方がないのでポケット漁る。さっさと連れていこう。それで絵の続きを描きたい。 「おい針井、鍵は?」 「失くした」 「いつ?!」 「さぁ」 「おい」 そう言うことはさっさと大家に言え! たしか倉庫の奥にある棚にマスターキーが… 「あっ、こらおい!」 「クソネミ」 目を離したすきに酔っ払いは人のベッドに入っていた。クソネミじゃねーよ。 「はぁ…」 仕方ない。 この馬鹿野朗の部屋鍵を取り替えるよう業者にメールで頼もう。 もちろん全額こいつ持ちでグレード高めの鍵を選んでやる。 よし、楽しくなってきた。

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