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【2】
「大家さん!大家さんちょっと!!」
「ドンドンすんなって聞こえてるから」
二日酔いの頭に響くだろうが。
昨日あの後飲み直した時、今はよく覚えてないがその店で話しが合う人と出会い、盛り上がって結局飲みすぎた。
おかげで頭がガンガンする。
「どうしたんだよ茂竿」
「いいから来て欲しいんっすよ!早く早く!」
あああもう引っ張るな揺らすな
頭いてぇ…!!
なにやら慌ててる茂竿に腕を引かれ2階に上がった。何があったっていうんだゴキか?言っとくが俺も苦手だからな頼るなほんと。
「大家さんなんとかして下さい…」
「ゴキは男女年齢問わずで人類の敵だろうが自分でなんとかしなさい」
「ちゃうちゃうあれあれ」
あ?………。
「え?」
オロオロしている茂竿の視線の先を辿ると…205、鱈師さんの部屋の前で金髪とのっぽ、針井と混入が睨み合っていた。
「オイオイどうしたお前ら」
そういうのは下の左右田と右近の役回りだろうが。
「大矢チャン!ちょま、マジ聞いて!!ホントアリえってぃなんだけどマジで!ウソじゃねし!きいて!」
「聞くから内容のあること話せ」
「…………………糞野郎…」
「お前は過激だな、落ち着け」
2人の間に入り距離を無理やり取らせる。仲が良いってわけでもないが特別悪いってわけでも無かった筈だ。
なんでこんなに今にも乱闘が始まりそうなくらいいがみ合っているんだ。
「コミッチャンがサ!!俺が鱈師サンの部屋勝手に入って金盗んだって言うんよぉ!まじありえねー!!」
なんだその穏やかじゃない話は。
「…そ、んなこと…言ってない…」
言って無いんかい。
「でも……言ってないのに言うってことは………こ、心当たりが、あ、あるからだろ…」
声ちっちゃい割にグイグイくるな。
「お前ら、1から説明しろ」
やったやってないのラリーで全く話が見えてこなかったので今は談話スペースになっている空き部屋に入った。
4人で座る机に俺、針井、向かいに混入と茂竿を座らせた。手が出そうになったらすぐ抑えられるフォーメーションで2人の話を聞くことにした。
混入はジッと針井を睨んでいるし口がへの字で固まっているから針井に聞くことにした。
「何があったんだ?」
「ナニもナンも!俺飯くおーおもてさぁ、下りようとすんジャン?部屋でんジャン?そったらキューにコミッチャンが胸ぐらガシ掴みすっし鱈師サンの部屋の入っただろ!ってガチ睨みしてくんの!」
「普通に喋れって解りづらいから」
「ノーマルですケド?!」
ウソつけ。
「………お前しかいないだろ…”泥棒“」
「あ?」
「針井、おいどうした座れって」
泥棒は流石に言い過ぎだ、といさめるよりも先に針井が立ち上がった。
「おい今なんつった」
先ほどまでのおちゃらけた雰囲気が急に冷えたような、すごみの効いた声だった。針井じゃ無くなったと錯覚するほどの。
「……泥棒、ってい、言った…お前しか…いないだろ」
「てめっよりにもよって…この、コミュ症野郎!」
「待て待て待て手は出すな!手は!出すな!!」
グーはだめだって!
今にも殴りかかりそうな針井を抑える。混入の方は茂竿が間に入って抑えていた。止めようとしても今の2人には聞こえてないみたいで…
だめだ今の2人何言っても乱闘になる!
「どうしたの?」
棘々しい空気の中、のんびりとした声が談話室に入ってきた。
「た、鱈師さ…全裸っ!」
「よく見て大矢くん下履いてるから」
入ってきたのはパンツのみの鱈師さんだった。髪が濡れて入るのでシャワーに入っていたのだろうか。いやいまはそれはいい!
「鱈師さんちょっと!」
「うん?」
「なんか盗まれたんですか私物?!」
「そうなの?」
「なんで本人把握してねーんだよ!」
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