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“2”G変
共用キッチンにゴキブリが出た
そう知ってからまだ5分そこらしか
経っていないにも関わらず、
屍(死因、ヘッドショット)2体プラス
アルファで計3人がやられた。
くそ右近め、左右田に対してあんな
暴力的だから期待していたのに!!
時刻は8:00。
左右田はあと最低2時間は起きてこないし、完全夜型生活の鱈師
さんは絶対あてにできない!
もう自分しか信じられない、屍供は
放置してキッチンを閉鎖、その後
ホームセンターに行ってなんかこう
シューするやつ買ってくるしかない。
あばよお前ら俺は先に行く。
ゲエッ
なんでそこに…!!
なんでお前はドアノブ付近にいるんだ
ファ◯ク!!
思わず中指を立てたくなるような現状に頭を抱えたくなる。
廊下に通じる唯一のドア、そのノブの
上に野郎は居る。
1人も逃がさないってか、ちくしょう!
いや退いたとしてもあのノブ触りたくない、なんか、その、あれだよ
なんかばっちい。
クソ、視線をそらしてどっかいくのも嫌だがこのまま見つめ会うのもいやだ!
あと潰すのもいや、ばっちい。
覚悟を決めるしかないのか…?
冷や汗だかあぶら汗だかかきながら
双方動かずに見つめあっていた時、
向こうが先に動いた。
正確にはすべりおちた。
野郎が乗っていたドアノブがゆっくりと
動いたため下に滑り落ちたのだ。
誰か来た?まさか左右田か!
助かったあいつならスリッパでも
なんでもヤれ…
「俺ちゃんめっずらしくハヤオキィ」
「なんでテメェなんだよボケ!!」
「ナニユエ」
一番頼りない針井が来やがった!
「なんで起きて早々に罵倒されないと
いけないのか教えてプリーズ…」
「うるせえ」
「ひでぇ…」
「お前絶対キャーキャー言ってなんも
できないやつ代表選手だろうが!」
「ナニガァ、ってかなんで
コミっちゃん達ぶっ倒れてンの」
「だからやつが…」
待って。
どこいった?
しまった針井みてたら野郎見失った!
「野郎、どこ行きやがった…」
「ヤロウって誰ェ」
「うるせえ服掴むなって…ウッ」
足に違和感。
俺は基本素足移動。嫌な予感がする。
いや現実を見たくない。そう思って居るがもしかしたら違うかもしれないしと薄い希望を持って恐る恐る視線を下げる。
のっ て る。
む…
無理…。
不快感と嫌悪感や拒絶反応がぐっちゃぐちゃに交ざりながら足先から全身へ
回る。もう気絶でもしてやろうか
いっそそっちの方が楽かも…
くそせめて…せめて起きて来たのが
左右田だったら…!
足の違和感達がフッと消えた。
気絶でもしたのか、と思ったが意識は
はっきりとしている。
足を見ると、黒いあいつは居ない。
どこに…?
「大家チャン足にゴキ乗ってるやん」
ウケぽー、と変わらぬ調子で先ほど
まで足にいたそいつを掴む針井。
何事もなかったようにテキパキと
ティッシュでくるみ、ポリ袋に入れて固く縛った。
そのままゴミ箱に入れて、多大な被害を出した虫はあっさりと片付けられた。
「…」
「なん、大家チャンゴキ嫌いなン?
まじウケぽ、ぉ、おっ?!」
「よくやった…よくやってくれた」
「ちょちょちょままま」
ドッと安心し、一番の功労者を強く
抱擁した。ほんと、ほんっっとに、
よくやってくれた。使えないって
思っててごめん。
「また出たら真っ先に頼るな」
「えっ、お、おぅ」
「お前が入居者で良かった」
「そ、そう?ぇ、ぇ…あ、あっ
ヤカンに火かけっぱできちった!
は、あははは部屋戻ります」
そう言って俺を振りほどき走って
キッチンを出ていった針井の耳は
赤かった。
しまった、またグイグイ行き過ぎた。
距離感って難しい。
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