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(1)右往左往@右近

「俺らの下宿ってシェアハウスなのか どうか、どう思う右近?」 「急になんですか」 大学の昼時は騒がしい。 特に多種多様な学科がある大学は特に。 芸術系というただでさえキャラが濃い 人種達が1つの場所に集まってみると サル山と変わらない喧騒が生まれる。 人人人のごった返している中にも関わらず、同じ下宿に住んで居る友人の 茂竿に見つけられた。流れで一緒に 昼食を過ごすことになり、先ほどの 質問を受けた。 「シェアハウス自体の定義は曖昧で しょうが、なにか違うと思いますよ」 シェアハウスといえばすぐ思い浮かぶ のは欧米などで、肩並べて一緒にテレビをみたり食事をする様子だ。 そう考えると少し違う気がする。 「だよねぇミニキッチンとかちっちゃい冷蔵庫とかは各部屋あるし」 「プライベートなスペースは確率されて居ますね」 「たまに酔っ払った針井先輩いるけど」 「あれは本当に謎ですよ」 「大矢さんが鍵変えたばっかなのに もう突破してるよな」 「ですね」 選考したコースは違えど茂竿は私の 良き友人であることには違いない。 ある一点を除けば彼との会話は苦ではない。ある一点だけのぞけば。 「で、右近先生話は変わるけど」 ほら来た。 「変えなくていいです」 「先輩とどこまで進んだの?」 「変えるなと言いましたよね」 「あだだだ頭グリグリしないで」 この男、人の色恋沙汰にグイグイ首を 突っ込みたがる悪癖がある。 特に顔見知りの場合先程のように直球 で聞いてくる。 これが女性のような聞くだけで楽しい に留まるのなら文句は無いが…茂竿は そこで止まらない。 「他の人に言いふらしたりとかしない でしょ俺」 「ええ、そういう事はしないですよね 代わりに勝手に漫画にしてネットで 配信してるだけですものねメガネを渡しなさいへし折ります」 「ネタをちょっと拝借してるだけ! 実名とか見た目とかよせてないじゃん 俺二次専門だし!!俺無名だし!」 「フォロワー6千越えでしょうが」 コミックコースに在籍するこの男、 個人で活動する所謂、同人作家という 物で度々人の悩みをネタに昇華する 悪癖がある。 無駄に備わっているコミュニケーション力と無害そうなとぼけたアホヅラの持ち主なために、気づけば誰にも言うつもりがなかった話を喋ってしまう。 今のところは悪用されたり実名を伴う 公開、拡散等は行なっていないが 嫌な気分かと聞かれればハイと答える。 「でもでもでもな、ほんと俺応援してるんだってマジで。俺に相談してくれた時すっごく嬉しかったんだぜ?」 「あなたに話そうと思った過去の私を 絞め殺したい気分ですよ」 「ごめんごめん怒らないで、俺の メガネ折らないで!」 この男が取り扱っているジャンルを 偶然知った当時は心身共に疲弊していた時期でもあったため、つい話してしまった。その時から生暖かい目を時折見せてくるこの男の縮れた毛根を なんど焼き払ってやろうと 思ったことか! 「だってー気になるし、なんか可愛い って思っちゃってー」 「ぶち殺すぞ」 「たまにガチの殺気だすよね先生」 「本気で悩んでるです。こう言うことは貴方ぐらいにしか相談できないんのが腹立たしい…」 「…」 「ネタにしても良いですよ何億歩譲って。その分ちゃんと聞きなさい。この手の話は最早貴方にしか頼れないんです」 「…」 「何を黙って居るんです」 「…」 「なぜ無言で写真を撮るのです」 「いやぁ…」 「クール系の赤面顔資料は希少」 「ぶち殺すぞ!!」

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