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第4話
ニロの温度が指先に残る。
錯覚なのだろうけど、いつまでも残っている気がした。
彼のいなくなった部屋は静まり返って、逆に煩く感じる程になんだかそわそわした。
こんなこと前にもあったっけ、ああダメだ。
思い出せない。きっと勘違いだろう。
そんなことを考えながらジザベルは小窓を見上げた。
灰色の空と雲が見えた。なんて、狭い空だろう。
反対側へと顔を向ける。
ドアの上に取り付けられた時計がゆっくりと針を進めていた。
毎日毎日同じところを回って、飽きはしないのだろうか。
嫌気が差して、動きをデタラメにしてみたい気にはならないのだろうか。
そんなことを思いながらジザベルはふらふらと立ち上がった。
"お薬の時間"だ。
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