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第25話
ミナが行ってしまうのを見届けた後暗くなる視界の中、野原へと戻る。
すでに森にも火の手が回りバチバチと音を立てて木々が燃えていた。
ジザベルは相変わらず作り物のように横たわっていた。
ニロは酷く疲れて、彼の体に抱きつくように倒れる。
火がすぐそばまで来ているのか、妙に暖かかった。
「最後がジザベルでよかった...」
顔を上げ、彼の白い顔を見る。
口付けをする。冷たくて、硬い。
それでも紛れもなくジザベルなのだ。
幸せだった。
顔を上げると視界はじんわりと黒くなっていき、やがて深い闇の中に落とされた。
凄まじい眠気が襲ってきて、
ニロはそのまま目を閉じる。
ジザベルの髪の毛を撫でて、まるで出会った頃
野原でじゃれていた時のような感覚になっていく。
遠い遠い記憶が優しく光を集めて、微笑みかける。
ジザベルが、愛してるよ。ニロ。
と笑った。
「....愛してる...よ...」
野原は火に沈んだ。
永遠の時の中を彷徨う存在は色褪せる事は無いだろう。
その証拠に、瞼の裏にはいつでもその姿が張り付いている。
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