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【連休7日目・深夜(続)】
泡でブクブクにしたスポンジを持ちながら何故か手で背中を洗いはじめたケイさんの、手が背中を滑っていくのを感じる。
正直に言う。くすぐったい。
背中も脇腹も弱いんだよ、俺。職業柄肩こり酷いのにマッサージ店行けないくらい。
「それは良いこと聞いた」
「……なんですか、その意味深な反応」
明らかに、企んでます、という反応をわざわざ示してくれるあたり優しいとは思うけれど。
くすぐられるのは嫌だなぁ。くしゃみと同じで、痒みとか擽ったさとか、耐えられる部類じゃないよね。
背中でこんなにくすぐったいのに、ケイさんに顔以外全部任せろとか言われてるんだが。大丈夫か、俺。
大丈夫じゃないだろ、俺。
「んにゃあっ!?」
背中から首までぞわぞわっとして、思わず悲鳴をあげた。
ってか、ぎゅっと唇噛み締めて声を殺していたせいで変な声出たし。
どう想像してもあれは絶対指先で撫でたんだと思う。くすぐったいって言ってるのに、なんて意地悪だ。
主犯のケイさんは後ろで大爆笑。にゃあって、猫か、だって。
ムカついたのでケイさんの手からスポンジ没収。自分で洗います。遊ばせてあげません。
「ごめんって。そんなに拗ねないで。ね、続き洗わせて?」
「嫌 で す。先にお湯浸かっててください」
はい、そっち。指差すのはもちろん湯槽の中。
追い立てられてとぼとぼ引き上げていったケイさんは、長風呂するつもりなのか、風呂の湯に水を足していた。
自分で洗うなら身体を洗うなどすぐに済む。泡だらけの身体をシャワーで流して半分以上ケイさんに占拠された湯槽の隙間に足を下ろしたら、急に起き上がったケイさんに腰を取られて引摺り下ろされた。
バシャンっと大きく湯が跳ねる。当然のように俺自身もスッ転んでケイさんの方に勢い良く倒れてしまった。
どこもぶつけなかったのは、ケイさんが余裕綽々で抱き止めてくれたおかげだけど、転んだのもケイさんのせいだから怒る方が先だ。
「ケイさん!」
「はは。ごめんごめん。カズくんが軽すぎて力加減間違えた」
軽すぎるのはケイさんの言動かと。まぁ、怪我もなかったから良いけども。
「太ってはいないつもりですが、軽くはないと思います」
「背丈あるからもっと重いと思ってたんだよ。見ても確かに筋肉なさそうだけど、ホントに非力なんだな」
むむ。それは否定できん。
いや、タワー型PCを持ち上げるくらいの筋力はあるぞ、かろうじて。女性でも持ち上がるけどな。
「それに、こうして抱っこしてても軽いと思うし」
「浮力のおかげです」
「それもあるけどねぇ」
むすっと不貞腐れているのにそれすら可愛いとでも言うつもりか、ケイさんはなんとも手際よくさっき気がついた時の格好を再現しながら笑っている。
首すじにケイさんの吐息がくすぐったくてちょっと身をよじった。
後ろから抱き締められていると、正直なところ、身動きはできない。
うん、まぁ、何となくの覚悟はつけたから身動きする気もないんだけど。
項 を甘噛みされてひくりと勝手に動く身体をケイさんは宥めるように撫でてくれるから、身を預ける覚悟もできた。そんな小さな反応を気遣ってくれるケイさんはきっと酷いことはしないと思えるから。
身体を撫でていた手が胸あたりを擽りだしたのは、ちょっと見下ろしてしまったけど。
「ぺったんこですけど?」
「男だって乳首は気持ちいいよ?」
「断言ですか」
「体験談だからね」
「元カノさんチャレンジャーだな」
まさか自分でやってみるとも思えないし、たぶんそうだろうと思って言ってみたら、本当に、と同意された。
本当にチャレンジャーだな。その積極性を見せなきゃケイさんとゴールインしてたかも知れないのに。
なんて思わず同情する。
俺がケイさんの元カノさんに同情してるなんて思いもしないケイさんは、その元カノさんと同じチャレンジを俺に決行するようだ。
つまむように撫でられて、まぁ、くすぐったいわけではないけど。
それとはちょっと違うぞわぞわ感に身体が強張る。
それでもケイさんのチャレンジを邪魔する気は起きないあたり、俺もケイさんとその先に進みたいらしい。
身体が強張っていても嫌がってるわけじゃないことをどうやったらケイさんに伝えられるのか分からないけど。
せめてケイさんの手の邪魔にならないようにちょっと上半身を捩って、ケイさんの肩にすがり付きながら触れる首すじに頬を押し付けた。
甘えてるように、見えると良いけど。
「何可愛いことしてるの、カズくん」
「甘えてみてます」
正直に答えたら吹き出された。ウケたならそれで良い。
「意識してたんだ。じゃあ、そのまま俺にくっついてて」
「はー、いっ!?」
ふざけてよいこのお返事してる最中に、フニッと掴まれたのはまだまだその気になってない俺の息子さんで。
片手で乳首、片手でぺニス、って、ケイさんいきなり本気モードですか。
流石男同士というか。無茶苦茶気持ちいいんだけど。
何度か揉まれただけでムクムク成長する素直すぎな息子に、まだついていけてない頭がむしろ情けないと判断する。
一方で背後のケイさんは嬉しいんだか楽しいんだかクスッと笑っていて、居たたまれなさから俯いて顔を隠すしか術もない。
「ほら、大きくなったら立派に大人の男じゃない」
「……ケイさんには負ける気がします」
「ほとんど変わらないよ。触ってみる?」
わざとらしく俺の尻の間にソレを押しつけてくるケイさんのせいで、むしろその大きさを認識してしまって顔が熱くなる。
本当に俺に欲情してくれてるんだなぁ、って。今さら実感するのもどうかと思うけど。
手を後ろに回して握ってみたら、確かに違和感ない重量だった。
長いこと右手が恋人だったから自分のものなら握り慣れている。それと似た感触で、思わず自分のイイトコロを刺激する要領で擦ってしまう。
耳元でクスリと笑ったケイさんが俺の手を真似てきた。
「カズくんの手でイキそう」
色っぽく掠れた声で囁かれたらこっちこそイキそう。
それに、俺は後ろに回した手以外に何も出来ないのに、ケイさんは両手で刺激してくるわ、膝で俺をガッチリ押さえ込むわ、あげく項まで甘噛みされて。
「んあ゛っ!」
悲鳴も漏れるってもんです。
「もっと色っぽく喘ごうよ」
「や、むり……ぁあっ」
「そうそう、その調子」
耳元で囁くついでに耳朶に噛みつかれて、ぎゅっと手の中のモノを握ってしまう。
あぁ、絶対痛い、これ。
「ご、ごめっ!! ひゃあ!?」
謝る隙もあればこそ。
ひっくり返されて腰を抱き締められて、猛った性器同士が擦れあう。
今までより更に不安定な体勢になす術もなく、ケイさんの肩と背中を預けている湯槽の縁に手をつくので精一杯で。
俺が身動き取れないのを良いことに、すぐ近くにくっついている2つの性器をその大きな手で一緒くたに包み込み、強めに擦りあげてくる。
遠慮会釈ない行為に翻弄されるしかない俺は、悪態を吐くしか出来ることもない。
「もぉ、ケイさ、ばかぁぁあっ」
「素直に気持ち良くなっちゃいなさい」
「なっちゃ、も、ひゃああぁんっ」
一気に無理矢理突き上げられる快楽に、頭のネジも飛びそう。
意識が真っ白になるような気持ち良さ。
あぁ、ダメ。
このままちょっと、休ませて。
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