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1-4 ひとつ屋根の下

ナナメがひとしきりぐだぐだしてようやくベッドから抜け出し、 顔を洗ってリビングへと行くと 既に仕事モードに切り替わっているヨコの姿があった。 髪を整え、綺麗にアイロンがかかったシャツとスラックスにシンプルなネクタイ姿はもう立派な会社員である。 自分は全くこだわりが無かったため、適当に作ってもらったシステムキッチンはL字型に主婦の喜ぶ便利システムを構築させているが 仕切りのないダイニングキッチンなので、料理をしている姿がよく見える。 カウンターの前に設置してあるテーブルの上にはすでに朝食が出来上がっていて、 その手際の良さには感動せざるを得ない。 フライパンで何かを焼いているらしい彼を横目に、食器棚からカップを二つ取り出して 彼と同じく既に仕事を終えているコーヒーメーカーの元へ。 なんとなくそれぞれの役割が確立されつつある朝のルーティンだ。 1人で暮らしていた頃はそれはそれはもう自堕落で 昼夜逆転なんかし放題の暮らしをしていたものだが、 彼は会社員という性質上決まった時間に活動開始するので ナナメもそれに付き合っているうちに人として正しい時間に起きて活動をし始めるようになってしまった。 1人で暮らしていた頃よりも格段にQOLは上がっている事だろう。 「卵買ってこなきゃだな」 「ん。俺買っときましょうか?」 「いやいい。他に買いたいのいくつかあるし 帰りにスーパー寄る」 ヨコは見た目に反して家にいる時は大体キッチンに齧り付いていて、 電化製品のスイッチを入れることぐらいしか上手くできないナナメには理解できない事をやっているようだった。 無駄に広く持て余していたキッチンは完全に彼の城と化してしまったため、 今となっては自分の家であるにも関わらず冷蔵庫事情すらほとんど分かっていない。

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