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1-9 ひとつ屋根の下

23時前になんとか家に帰りつき、ヨコはため息を零しながら玄関のドアを開けた。 男の一人暮らしだったとは思えないほどやたらと広い家は、静かに寝静まっていて あまり物音を立てないようにドアを閉め内側から鍵をかけた。 玄関を入ってすぐ、謎に広いホールと廊下と2階へと続く階段があり、 廊下の先から光が溢れているのが見えた。 彼はまだ起きているのだろうか。 そんなことを思いながら静かに廊下を進み、リビングへ続くドアを開ける。 テレビでも見ているのかと思ったが電気のついた部屋は静かで、物音もしない。 ソファの上に横たわっている人物を発見し、見下ろした。 ジャージ姿のナナメは、祈るように両手を握りしめて眠っているらしかった。 色素の薄い長めの髪はふわふわと跳ねていて、 長い睫毛に白い肌、 整った顔立ちは眠っていると余計に際立っていて とても三十路の男とは思えない横顔だった。 男性にしては華奢な身体つき、残念なジャージ姿でも裾から覗く足首や首筋には嫌でも釘付けになってしまって そりゃ、こんな奴がすぐ近くでこんな無防備な姿を晒していたら誰だって、などとヨコは自虐的に思いながらも、彼の肩に触れた。 「おいナナメ、ここで寝るな。風邪引くぞ」 声をかけてやると、彼は眉根を寄せている。 身じろぎはするものの一向に起きる気配のない彼に、ヨコはため息をついた。 こんなに大きな家に住んでおきながら、彼の生活能力は心配になるレベルだった。 一体なんの仕事をしているのかは知らないが、とにかく出不精だし 目を離せばすぐ不摂生になり昼夜逆転し生活が破綻していく彼に呆れながらも、放っておけないのは事実で。 「全く…」 ヨコは仕方なく鞄を置いて、彼を抱き上げた。 決して軽くはないのだが、運んでやりたいと思ってしまう。 別に放っておいても良いのだろうけど、なぜか。

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