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1-15 オムライス。
「……なんか俺、ヨコさんに甘えてばっかりですね…」
自分の方が年上なのにも関わらず、勝手なことばかり考えて泣いたりして。
ナナメはつくづく自分のダメ人間さ加減が嫌になるのだった。
「そうか?」
「そうですよ…もっとしっかりしなきゃですよね」
苦笑してしまうと、ヨコは真顔のままこちらをじっと見つめてくる。
「別に、そのままでもいいと思うけど…」
「よくないですよ!だって、ヨコさんが」
居なくなったら。
思わず言いかけてしまい、
ナナメは慌てて口を閉じる。
「俺が、何?」
「いや、あの…なん、でもないです……」
ナナメは変な誤魔化し方をしてしまって、居た堪れなくなって俯いた。
別に冗談みたいに言えばいいのに、
そのうち居なくなるんでしょ、って。
応援してあげるように。背中を押すように。
ヨコさんだったらきっと、すぐに素敵な人が見つかるから、と。
同性の年上として、それをしてやらねばならないはずだった。
なのにそんなことを口に出せない浅ましい自分は、本当は彼の近くにいてはいけないのだ。
「……ナナメ?」
ヨコが心配そうに名前を呼んでくれて、
なんでそれを自分が独占できると思っているのだろう、と
急にバカらしくなってナナメは小さく笑った。
「…ヨコさん、俺なんかにこんなことしてちゃダメですよ」
昔から、人を好きになるのは痛くて辛い。
だってどうせ好きになってもらえない、そんな事は分かりきっているではないか。
だから今までだって傷付かないように、
深入りしないように上手く立ち回ってきたはずだった。
身の程も弁えず、本気で好きになった自分が悪いのだ。
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