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1-20 あなたと俺の齟齬
なんでそんなことをして貰えるのかは分からなかったが、
自己中心的な身体はそれを拒む事を許さなくて
ちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスを繰り返されながら
彼の濡れた掌に頭を撫でるように引き寄せられ、耳を撫でられると、泣き疲れた頭がぼうっとなっていく。
「ん、ヨコさ…、」
やがて舌が侵入してきて、舌を捕まえられると自分の涙と混じったしょっぱい味がした。
唇を甘噛みされて、優しく頭を撫でられて
そんな資格はないはずなのに、胸が高鳴って体が熱くなっていく。
彼の唇が首筋に降りてきて、服の中に手が侵入してくる。
「ナナメ、…」
耳元で呼ばれると、身体がビクッと震えて
首筋に吸い付かれ、噛まれ、舐めて、溶かされる。
彼には好きな人がいるのに、拒絶しなきゃいけないのに。
「っ…や、待っ…」
服を捲り上げられ、彼の唇が胸の突起へと触れた。
甘噛みされ舌先で転がされると、どうしようもなく熱を持ってしまって。
ナナメは唇を噛み締めながら、倒れそうな身体を片手で支えて
どうしたら逃げられるかを考えようとした。
そうしている間にも、彼の指先に突起を引っ掛かれ腰が跳ねてしまって。
「ん…ッ、…ん」
考えなきゃいけないのに。
彼のことがただただ好きで、触ってもらえて嬉しくて。
そんな風に喜ぶ自分が堪らなく惨めで。
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