24 / 121

1-23 あなたと俺の齟齬

ナナメが何も言えずにいると、ヨコに唇を奪われる。 先ほどよりも激しく、深く口付けられて またゾワゾワと身体が熱を持ち始める。 「もう無理マジで限界」 唇の隙間で、ヨコが呟いた。 ベッドに押し付けられるように身体を倒され、足を開かれ 彼の香りを感じて疼いていた蕾に、熱く滾った欲望が押し当てられた。 「あ…ヨコさ、ん、まっ…、ァ、あ…ッ!」 次の瞬間襲ってきた、処理しきれない程の快感にナナメは眼を見開き体を仰け反らせた。 飛びかけた意識が戻ってくると身体を割くように入ってきた欲望を感じ出して、びくびくと体が震え始める。 「ん、っ…う、うう…ふ、う…」 律動が始まり、ナナメはポロポロと泣きながら自分の指を噛んで 変なことを口走らぬように必死で抵抗をしながらも揺すぶられる。 身体中が熱くて、痺れて、切ないくらい激しい快感に全てを持っていかれそうだった。 「は、ぁ…ッ、…ん、ん…」 好き、好き、好き、好き。 欲望を打ちつけられるたびに、 彼の呼吸を感じるたびに、 名前を呼ばれるたびに、 脳がバカになっていって、そんな言葉しか浮かんでこなくなる。 それでも必死に口に出さぬよう耐えることしかできなかった。 「ナナメ…」 折角そうやって耐えていたのに、彼の腕に引き剥がされて 唾液でどろどろになった指に彼の指が絡んでくる。 「ぁ、あ、ッ…、ァ、っ…」 滲んだ視界の中、愛しくてたまらない彼の顔が見えて ナナメは無我夢中で彼に抱き付いていた。 全身で彼を感じると、勝手に身体が悦んで、 首に噛み付かれながら耳元で名前を呼ばれると、体内にある彼の欲望を締め付けてしまう。 「っ、ん、ヨコさ、よ、こさん…っ」 「ん…」 「いなく、ならない、で…、ぇ」 「……は?」 身体は熱に支配され、胸は苦しくて締め付けられて 頭は彼のことでいっぱいで、めちゃくちゃな状態のままナナメは必死に抱きつきながら 譫言のように言葉を溢した。 「はぁ、っ…よ、よこさんが、すき、 すき…です、すき…なんです…」 涙がとめどなく溢れてしまいながら、 あんなに必死に言わないようにしていた言葉が吐露されていった。 この香りも身体も、心も、誰かのものになってしまうと思うと そうなってしまったら、 もう二度とこんな風に触る事が許されなくなってしまうと想像するだけで 身体がバラバラになってしまいそうなほど、悲しくて。

ともだちにシェアしよう!