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1-32 トラウマといまから
行っちゃった。
そんな言葉を脳内で呟き、悲しくなって首を振った。
よく回らない思考の中、なんとなく心の重たさに苦痛を感じながら
ナナメはダラダラと洗面台に向かった。
鏡に映る自分の顔は相当に酷くて、
せめてもっと美しい状態で送り出せれば良かったな、
などと思いながら顔を洗い始めるのだった。
しっかりしなくては、彼がいなくても大丈夫だと
でないと優しいあの人は
きっと振り返ってしまう。
本当は、ここにいない方がいい人なんだから。
せめてそのように。
「…よし…掃除!そして仕事!」
ナナメは自分をどうにか切り替えようと水で濡れた顔をバシバシと叩いて
今日の予定を宣言した。
今までだってそうしてきた。
きっと、大丈夫だ。
きっと。
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